サケのマリネは、スパイスの配合が決め手だ。

Saumon mariné aux 10 parfums

今は亡きビストロの名店、Coin de verreで一番人気のアントレは、「サケのマリネ、10の香り」だった。スパイスそれぞれが、一つだけ目立たないように微妙に配合されているから、「バニラ、クミン、コショウ…」くらいしか見抜けなかった。昨年のノエルのごちそうに、その幻の、サケのマリネに挑戦してみた。

サケは、「pavé」という片身を切り分けたものを、少なくとも1キロ買ってくる。残るようだったら友人にプレゼントです。養殖ものでも、〈Label Rouge〉で品質が保証されているものがほしい。残っている中骨を骨抜きを使って丁寧にとりのぞく。

スパイスは、粉末のクミン、コリアンダー、シナモン、カルダモン、コショウ、それにフェンネルとベ・ローズbaie roseの実、おろしたナツメグ少々、細かくみじんに切ったアネット、バニラビーンズ1本分、で10種類! 全部揃わなくとも5、6種類はほしい。分量を書いておいたがあくまで目安、何回か作って好みの割り合いを見つけたい。ボウルにとった塩と砂糖に、以上のスパイスを加え、さらにウオッカを半カップ加えて混ぜ合わせれば、海岸のぬれた砂、といった感じのマリナードになる。

ラップを80センチくらいの長さに切る。その長さの半分の中央に、ボウルで混ぜ合せたマリナードの半分を敷く。その上に、サケを皮の方を下にしておき、マリナードの残りでサケの身を覆い、ラップで包む。

サケを大皿やバットにのせ、その上にサケよりちょっと大きい板などを置き、重しをのせる。大きな辞書一冊くらいの重さがいい。冷蔵庫の中で72時間マリネするのだが、一日数回引っくり返し、にじみ出た水はその度に捨てることが大切だ。

72時間経ったらラップから出し、冷水で表面を洗ってキッチンペーパーでよくぬぐう。包丁でそぐように、できるだけ薄く大きく切る。一片一片が重ならないように皿に並べ、生クリームソース(下欄参照)を添える。ウオッカがよく合う。(真)

4人分:サケの切り身1キロ、クミン、コリアンダー、シナモン、カルダモン、コショウ各小さじ1杯、フェンネルとベ・ローズbaie roseの実大さじ1杯、ナツメグ少々、アネット半束、バニラビーンズ1本、砂糖大さじ4杯、塩大さじ4杯、ウォッカ半カップ。


Sauce à la crème épaisse
 北欧では、こんなサケのマリネを「gravlax」といい、マスタード、砂糖、きざまれたアネットなどが入ったソースがついてくる。そこで、ぼくらも少々手をかけた生クリームソースを作ってみよう。生クリームは「épaisse」というポマード状のものを使うのだが、乳脂分30%の濃いものがいい。たとえば200ccをボウルにとり、マスタード、きざんだアネットの葉それぞれ大さじ1杯を混ぜ入れる。レモン半個を搾り、そこに砂糖小さじ1杯を加えてよく溶かし、生クリームに加える。コショウ少々を振り、丁寧に混ぜ合わせる。

Epices
 クミンcumin、コリアンダーcoriandre、シナモンcannelle、カルダモンcardamone、フェンネルfenouil、ナツメグnoix de muscade、丁字clous de girofleなどのスパイスは、スーパーで小瓶入りが手に入るが安くはない。ところが、インドや中近東の食材店で、袋入りを買うと半額以下になるのだ。袋に入れたままで使うと、湿気をおびたり、香りがとんでしまうので、普段からとっておいたジャムの空き瓶などに入れ、きちんとふたをして保存することが大切だ。バニラグースとサフランを買うなら、インド食材店へ。質も極上だし、少しは安くなる。