ピーター・パン、大人になりたがらない少年

●Pan
 ピーター・パンが、もともとは『ピーター・パン、大人になりたがらない少年』(1904)という戯曲作品の主人公であり、スコットランド出身のジェームス・マシュー・バリーの作だということは意外に知られていない。
 ウェンディの寝室からネバーランド、そして再び寝室へ戻るまで、いくつもの異なった空間の中で話は展開する。昼とはいえ真昼ではない。空想世界での昼では光と影のコントラストが大きな役割を果たす。だからこそ舞台というひとつの空間で場所と時を移すことの難しさを感じ、同時に舞台という三次元の空間だからこそ、光と影を上手く使えば一瞬のうちに全く別の世界へと移動できるのだと実感できる。
 6歳の時に観たこの戯曲と8歳の時に観たシェイクスピアの『真夏の夜の夢』が、演出家イリナ・ブルックの記憶にくっきり刻まれているという。妖精たちが浮遊する夢の空間を愛するブルックがつくりあげたこの舞台空間は、どれだけ今の子供たちの記憶に残っていくのだろうか。一緒に観に行った娘はティンカーベルにとても熱を上げていた。確かにティンカーベルはチャーミングだし、一人一人の役者は輝くばかりの個性を持っているのに、全体的な調和に欠けるという印象を持ってしまうのは何故だろう?  音楽、サーカス、ダンス…とエンターテイメント性を持たせ、万人が楽しめるようにと配慮するのはわかるけれど、逆手に取れば、この舞台自体がピーターパンの人物像にどこか似て、大人と子供の間でユラユラと揺れ動いているようでもある。果たして童心に帰れないがために心から楽しめないのか、それともあまりにもディズニー世界に毒されてしまったのか?(海)
7/9日迄。火-土20h30、土16h、
日15h30。17-43€。

Théâtre de Paris

Adresse : 15 rue Blanche , 75009 paris
TEL : 01.4874.2537