食コラム

ノルマンディーの作家と食 〈12〉

モーパッサンの小説『ベラミ』(1885年)の主人公デュロワは、ノルマンディー地方出身の庶民。花の都パリにやって来たとはいえ、その住みかは労働者などの低所得者用のみすぼらしいアパルトマンだった。「食物の匂いと便所の匂いとの […]

ノルマンディーの作家と食 〈11〉

 フランスが誇る文豪モーパッサンの長編小説2作目は『ベラミ』(1885年)。容姿を武器に出世街道をひた走る青年、デュロワが主人公だ。もともとの才能はたいしてない。でも、有能で権力のある女性に取り入ることは誰よりも上手で、 […]

ノルマンディーの作家と食 〈10〉

 モーパッサンは、たった10年の作家生活の間、何かにとりつかれたように机に向かった。残された長編小説は6作、短編小説は実に300作以上にもなる。そして、そのインスピレーションの元は、自らの体験であることが多かった。 初の […]

稲葉由紀子 『パリ、異邦人たちの味』 

 パリで幸せなことは、これまで出会ったことのなかった、さまざまな国のさまざまな料理を、現地そのままに味わうことができることだろう。これも移民が数多く住んでいることのおかげ。そんな異邦人の味のとりこになった著者が紹介してく […]

ノルマンディーの作家と食 〈9〉

 モーパッサンの傑作『女の一生』(1883年)では、作家自身の家族が登場人物のモデルになっている。主人公ジャンヌの父親のモデルになったのはモーパッサンのふたりの祖父といわれていて、貴族生まれの、一風変わった知識人として描 […]

ノルマンディーの作家と食 〈8〉

その両親が離婚した後、モーパッサンは母親のロールと共に海辺に近いエトルタの別荘で過ごすことになった。まだ離婚が珍しい時代でもあり、父親から離れて暮らすのは辛い面もあったはずだが、12歳の少年モーパッサンはすぐに海辺での暮 […]

ノルマンディーの作家と食 〈7〉

 師匠のフロベールから、物事をしっかりと観察して描写することの大切さを教わったモーパッサン。初めて手がけた長編小説『女の一生』(1883年)には、そうやって時間をかけたからこそ得られたであろう、美しい表現が散りばめられて […]

ノルマンディーの作家と食 〈6〉

モーパッサン初の長編小説『女の一生』(1883年)は、約5年の年月をかけて書き上げられた。師匠のフロベールから「これこそ真の小説!これこそ真のアイデアというもの!」と小説の構成を激励されて、意気揚々と執筆を始めたモーパッ […]

ノルマンディーの作家と食 〈5〉

モーパッサンの初期の作品には、1870年に勃発した普仏戦争がテーマになっているものが多い。『マドモワゼル・フィフィ』(1882年)もそのひとつで、ルーアンの近くにある貴族の城を占拠したプロイセン軍の将校らが登場する。 執 […]

ノルマンディーの作家と食 〈4〉

「毎晩、十一時頃になると、カッフェにでも行くように、ふらりとそこへ出かける」(青柳瑞穂訳)。これは、モーパッサンの短編『テリエ館』(1881年)の書き出しだ。短くて何でもないようでいて、美しい一文だ。「そこ」とは、ノルマ […]

ノルマンディーの作家と食 〈3〉

『脂肪の塊』(1880年)はモーパッサンが30歳の時に発表した小説。師匠にあたるフロベールも手放しで称賛したこの作品からは、モーパッサンの感性がしっかりと感じられる。自分が生まれ育ったノルマンディーの風景やノルマンディー […]

ノルマンディーの作家と食 〈2〉

 モーパッサンの『脂肪の塊 Boule de suif』(1880年)がこの作家の出世作になったのには、主人公であるノルマンディー美人の描写の素晴らしさが一役買っている。ぽっちゃりとした体型から「脂肪の塊」とあだ名をつけ […]