BLOG : 小沢君江通信

36 (trente-sixたくさんの)119

〈36〉は古代エジプトの占星術で使われた10分角(デーカン):黄道十二宮のそれぞれの宮(30度)を3分割した部分。フランス語では「たくさん」を意味する。〈Voir 36 chandelles〉(36のシャンデリアを見る)は「目から火が出る」、〈Il n'y a pas 36 solutions〉(解決策がたくさんあるわ...

バルセロナ市長の座を狙うマニュエル・ヴァルス

 マニュエル・ヴァルスは、オランド政権の元首相。2017年大統領選でマクロンが当選し、もしやマクロン政権に彼の政治体験が役に立つのではないか、何かの省の閣僚にでもしてくれるのではないかと、衰退しつづける社会党からマクロンの党「共和国前進」に鞍替えし、同党の議会議員席を保持した。しかし政界はそう単純ではない。マクロン大統...

Deux poids deux mesures(相手・状況次第で判断が変わる)117

これは18世紀ヴォルテールの時代に使い出された表現で、状況・相手次第で判断が変わること。例えば、路上で同じ位置に駐車違反しているのに、1台の持ち主には罰金が安く、もう1台には高額の罰金が科せられ、差をつけられた運転手は〈Deux poids deux mesures〉といって 不平等の罰金に対して怒る。被告が求刑より重...

Mettre la tête dans le sable(頭隠して尻隠さず)116

日本語では、キジが草むらに頭を隠すのだけど、フランス語では〈Faire l’autruche〉(危険が迫ると砂の中に頭を隠す)ダチョウのように、事態を直視しないこと。語源は、ローマ帝国の博物学者ガイウス・プリニウス(23-79)が「ガチョウほど愚かな動物はいない」と言ったといういわれから来ているそう。政治家の中には〈P...

61年前アルジェリア戦争中の拷問死を「国の責任」と認める

アルジェリア戦争:マクロン大統領の歴史的行為 Le Monde (18-9-14)  1957年6月11日アルジェリア戦争中、仏軍が当時25 歳の共産党員で数学者モーリス・オーダンをアルジェの自宅で逮捕し、監禁、拷問の末、死なせた事件について、マクロン大統領は9月13日、オーダン未亡人ジョゼット夫人の自宅を訪ね...

マクロン政権が花形大臣、ユロ環境移行相を失うとき

「ユロ前環境相は正しかった」(Libération : 18-8-29)  8月28日朝8時の公営ラジオ放送、フランス・アンテールのインタビューで、スター的大臣、ニコラ・ユロ環境移行相が突如、「環境相の座を辞任する」と宣言したのには、デンマーク訪問中のマクロン大統領もフィリップ首相も寝耳に水、後者はこの放送で知...

Culotte(半ズボン、キュロット)115

キュロットは18世紀の貴族男性のひざまで来る半ズボンのこと。〈Porter la culotte〉は当然、男が実権をにぎることで、例外的に〈Chez lui, c’est sa femme qui porte la culotte〉(彼は妻の尻に敷かれている)となる。形容詞〈Être culotté/e〉と〈Avoir...

聖職者の小児性愛疑惑で大揺れに揺れるカトリック界

「暗黙の共謀:神に赦しを乞うフランシスコ教皇」Le Monde(18-8-28)  8月25-26日、アイルランドのダブリンで開催された「第9回世界家庭大会」を前にフランシスコ教皇が8月20日付で7カ国語で公開した「神の民への手紙」は、冒頭文「わたくしは、多くの聖職者が、権威と信仰心を乱用し多数の未成年者に加え...