BLOG : 小沢君江通信

Faire l’autruche(頭隠して尻隠さず)35

日本ではキジが草むらの中に頭を突っ込んで身を隠したつもりでいることを表すことわざ「頭隠して尻隠さず」があるように、フランス語でもダチョウが危険を前にし、砂の中に頭を隠すように、問題を直視しないことを〈faire l'autruche〉 〈jouer les autruches〉という。〈pratiquer la pol...

C’est coton(厄介な)34

19世紀の綿織物は入念な注意と忍耐を必要とした。〈filer du mauvais coton 〉や〈filer un vilain coton〉(悪質な綿糸を紡ぐ)は、「状況が悪化する」や「悪い結果になる」ことを意味する。現代では〈C'est coton 〉は「難しい、厄介な」を意味する。...

フィヨン右派大統領候補が「悪臭弾」をつかまされる。

シャルリ・エブド紙(17-2-1)「何もせずに50万ユーロ。ペネロープ・フィヨンの仮面」 サルコジ政権元首相フランソワ・フィヨンの夫人(61)ペネロープさん(愛称ペニー)は、自称「家庭の主婦」「ペイザンヌ(農婦)」でとおしてきた。英ウェールズ出身の良き妻、良き母親として5人の子供を育て、敬虔なカトリック信者として仏...

Bon comme la romaine(誰にも好まれる)33

元々は15世紀にアヴィニョンに教皇庁がローマから移されたとき、教皇がイタリアからレタスを導入し、ローマから来たレタスがあまりにも美味しかったのか、〈Vous êtes très bon〉(すごく優しい)という代りに〈Vous êtes bon comme la romaine〉とも言うようになった。つまり美味しいレタス...

Être chocolat(一杯食わされる)32

「ショコラ」といえば、19世紀末、ベルエポック時代に元奴隷だったキューバ出身のラファエル・バディーヤが黒人だったので芸名ショコラで親しまれ、白人道化師フティットとコンビで一躍ヒットした。それを映画化した『ショコラ〜君がいて、僕がいる〜』(ロシュディ・ゼム監督、主演オマール・シー)が思い出される。ショコラはギャグとヘ...

老人介護施設はどのようにして選ぶか。

ル・パリジャン紙(17-1-14)「どうやって介護施設を選ぶか」  高齢の両親のどちらかに認知症またはアルツハイマー型認知症が進み始め、一人で身の回りのこともままならなくなったとき、介護施設EHPAD(医療付メゾン・ド・ルトレット)を探すかどうかの問題を抱える50~60 代の人がかなり多い。それはどこの国でも同じだ...

Toucher sa bille (有能、精通している)31

〈Toucher sa bille 〉とは、ビリヤードで相手の珠に命中させることから、様々な特技に秀でていることを意味する。20世紀半ばからの表現で〈Il touche sa bille en mécanique〉 なら「彼はメカに強い」、〈placer ses billes〉は「有利な立場に身をおく」、〈aller ...

Les Quatre cents coups(悪戯をする=『大人は判ってくれない』)30

〈Les Quatre cents coups〉といえばトリュフォーの名作『大人は判ってくれない』を思い出す(傑作な邦題だ)。その由来は、1621年、仏西南部のモントーバン市のプロテスタント系住民を弾圧するために20歳そこそこの若きルイ13世が大砲を400回発砲したが彼らは降参せず、王の軍隊をバカにした。1年後に王は作...

J’ai le cafard(気がめいる)29

地球上で最も嫌われるゴキブリは、日本語では「御器かぶり」が転化し「蜚蠊」という恐れ多い漢字名を持つ。フランスには1512年頃アラビア語の〈kâfir〉(不信仰者)から来ているそう。動詞〈cafarder〉は「明るみを嫌い隠れるのがうまい」ゴキブリのような行動をすること。そこで〈cafard〉は「密告者、スパイ、偽善者」...

EU離脱後の在英外国人と在EU英国人はどうなるのか。

 昨年6月23 日の国民投票でEU離脱が決まったものの、11月4日付ル・モンド紙によると、11月3日、ロンドンの高等法院は英国政府がEUからの離脱協議を始めるには議会の承認が必要との判決を下した。メイ首相は民意を実行に移すためで「議会の承認は不要」と主張するが、3月末からEU27カ国との協議を開始する予定だった首相は不...