通学日数が4日制と4日半制の二重構造
政権が変わるごとに新しい教育相が斬新な政策を打ち出す。前オランド政権のペイヨン教育相は、初等教育(小学校)において、以前は休みだった水曜日午前中を登校日とした。だがマクロン政権のブランケー新教育相の再編計画では、この9月から過疎地を中心に全国の31% の小学校(約2500 校)が週4日制になる。コルシカは96%、オート・アルプ地方は78%、その他ニース、トゥーロン、ペルピニャン、ダンケルク、カレー、ヴェルサイユ学区なども4日制にもどるという。
過疎地の学校生活を支えるため、通学バスの運転手から給食職員、学童保育スタッフ、障害児の付き添いまで、国の援助金で毎年数十万人が採用される。前年度は45 万人いたが緊縮財政のため今年は20万人に削減。ノルマンディーのカルバドスのある市議会は8月17 日、必要な職員数を雇えないため9月4日の新学年開始日を1週間遅らせている。過疎地の学校の維持に携わってきたかなりの人が職を失い、共働き所帯のカギっ子の日常が思いやられる。市長や校長の自主性が重んじられるというが、市長はそのために住民税を引き上げることもできず、しわ寄せは家族と子供が受けることになる。
マクロン大統領の公約の一つ:1クラス12人に
恵まれない所帯が集中する教育優先地区の小学1年(CP)の約2300のクラスの生徒数を現在の平均24人から12人にすること。小1で〈読み〉〈書き〉〈算数〉を100%習得させるために、クラスによっては 補助教員も加え2人が担当することも可能になる。小中学校での落第制度は2014 年に親が望む以外は廃止されたが、今年からは小1に落第制度を復活させ、低学年生に自信を持たせるようにするという。
ラテン-ギリシャ語を復活
ベルカセム前教育相は中学でのラテン-ギリシャ語と欧州語のバイリンガル教育を廃止したのだが、保守派のテクノクラートといわれるブランケー新教育相(サルコジ時代の2013年以来、高等経済商科学校ESSECの学長を務めた)は、前教育相がとった教育方針の逆手をとる。保守的教育を重んじる新教育相の肝いりで中学2年からラテン・ギリシャ語教育を選択教科として再開させ、やはり欧州語のバイリンガル教科の選択を可能にする。そして中学校から高1まで音楽を選択科目に加えれば、移民や下層所帯が集中しゲットー化が進む郊外校に、中流層の生徒が留まり階層の混合が可能になるのではないかと説く。
中学生への無料の補習クラスを設置
すでに授業後にボランティア教員が宿題をみてくれる中学校もあるが、万聖節(11月1日)のバカンス後からは、恵まれない所帯の多い優先地区での補習授業を一般化させ、受け持つ教員には残業手当を払い、地区の定年退職者やボランティア学生による補習授業を奨励する。近年中にバカロレア制度を改善し、試験科目を4科目に減らし、他は年間成績を基準にする方針。
小1と中1での成績評価テスト
8月29日、ブランケー新教育相が発表した教育計画として、この新学期から小1は9月中に、国語と算数の能力評価テストを、中1(6ème) は11月頃に、評価テストが実施されるという。例えば、小1に入学したばかりの6歳の児童には、3つのイメージ(チューリップ、トルチュ : 亀)、バロン : ボール)の中で「チュTu」という音が含まれていないのはどれか、というような幼稚園でもすでに行われている問題などが出される予定だ。教諭たちが危惧しているのは、児童や親たちのストレスに加え、クラス間の格差が表面化するのではないかという。この評価テストについては、準備もなくあまりにも早急な策なので父兄も教諭たちも当惑ぎみだ。