12月1日、毎週土曜日を全国抗議デーとしたジレ・ジョーヌ行動参加者は全国で約13万人、パリで約1万人。シャンゼリゼだけでなくチュイルリー公園からブティック街までジレ・ジョーヌに混じった破壊分子がゲリラ的に各地で放火、駐車中の車にも火をつけ、商店を破壊、略奪するという68年騒動以来の暴動状態を繰り広げた。参加者378人が警察に連行され、負傷者133人(警官23人)。年末のデパート、ブティック、ホテル、カフェの売上げ損失額は計り知れない。中でも凱旋門の下部壁面に「マクロン辞任」の落書きの他、マリアンヌ像の顔面破損に世界中の映像受信者もショックを受ける。「金持ちの大統領」と言われるマクロン大統領への攻撃か。ブエノスアイレスでのG20に参席したマクロン大統領は帰国後、空港からエトワール広場に向かい、パリ市内の被害を直視する。
3日、フィリップ首相、カスタネール内相はジレ・ジョーヌ代表数人と労組代表、各政党の党首ら、計30人余を首相官邸に招き彼らの意見を聞く。ヴォキエ共和党首やマリーン・ルペン極右RN党首らは、ガソリン・軽油の増税撤回と国民議会解散または国民投票の実施を要求する。ジレ・ジョーヌらの怒りは、彼らの要求を理解せず対応策をとろうとしないマクロン個人に向けられる。富裕税ISFを廃止したことは、マクロンを支持する大金持ちを保護するためとは、誰でも知っている。マクロンは、金持ちが余った金を企業投資に向けるためという自由経済の論理にしがみつく。エコロジー移行政策に必要な資金は、ガソリン・軽油の値上げと増税でまかなうという、庶民無視の態度にジレ・ジョーヌの怒りは深まる。中上層と下層庶民との格差が広がる一方の今日、ISFの復活しか道はないのでは。ジレ・ジョーヌもそれを要求しているのだ。次の土曜、8日には過激化を増すジレ・ジョーヌの行動が思いやられる。