21 世紀のジャンヌ・ダルクには誰がなる?

5月8日、オルレアンでのジャンヌ・ダルク祭にマクロン経済相。 Guillaume SOUVANT/AFP(Le Monde : 16-5-10)

5月8日、オルレアンでのジャンヌ・ダルク祭にマクロン経済相。
Guillaume SOUVANT/AFP(Le Monde : 16-5-10)

銀行家から政治家になりつつあるエマニュエル・マクロンはまだ一度も代議員になっていないが、まだ四十前。2、30年に1人くらいしか出てこない稀な人物とみてもいいのかもしれない。と、市民が想像してしまうエマニュエル・マクロンだが、5月8日の第2次大戦戦勝記念式でオランド大統領が凱旋門でセレモニーをしている最中、マクロン経済相はオルレアンのカレ市長に招かれジャンヌ・ダルクの第587回記念祭に出席。ジャンヌは1429年5月8日、イギリス軍からオルレアンを解放したフランス統一のシンボル。ジャンヌ・ダルクは今では国民戦線FNが看板娘のように掲げているのでFN の独り占めにさせておくわけにはいかない、とマクロンは「オルレアンの少女」を担ぎ上げる。彼がジャンヌに寄せた言葉をいくつかあげるなら、「ジャンヌの出現は希望を生み、国民のエネルギーを鼓舞し、狂気の夢として自明の運命を自らに課した。…弓矢のように彼女の軌道は真っすぐに旧体制を切り裂いた。希望は歴史の中に根をはり、ジャンヌは、彼女の時代以上にフランスのアイデンティティ形成に尽くした。私は救世主的人物の存在は信じないが、歴史のある時期に、一つの行動のために国民のエネルギーと勇気を信じるしかない…」と、エマニュエル・マクロンは国を救ったジャンヌ・ダルクに自分をあてはめているよう。これから彼が歩んでいく政治家の道はさぞかし棘や毒が多いことだろう。ちなみにマクロン夫人はヴァイオリニスト。二人が奏でていくメロディに期待したい。