内戦化するジレ・ジョーヌ運動に高校生、大学生も合流。

 「黄色いベスト(ジレ・ジョーヌ)運動」第4弾(12/8-9)を控え12月4日、フィリップ首相が政府の妥協案として、ガソリン・軽油の増税を6カ月間保留にし、新年から予定されていた燃料費の値上げも6カ月間凍結するという危機脱出のための政府案を発表した。しかしトゥ―ルーズのジレ・ジョーヌ代表始め同運動参加者たちは「増税の延期ではなく完全撤回」を要求し、「金持ちの800億ユーロに及ぶ脱税やマクドやアマゾン、グーグル、スターバックスなど外国籍企業への低課税率(2%)を怒り、税制の公正化を要求する。

 12月8日は未明から地方から団体バスでシャンゼリゼを目がけて来る者も。全国で約13万6千人、パリに2万5千人。警備隊も全国で8万人を動員。パリだけで約1千人(全国で2千人)を拘束。ジレ・ジョーヌ参加者は政府の妥協案を受け入れない。シャンゼリゼのブティック、デパートは全店シャッターを下ろし、美術館、劇場も閉まる。ホテルの予約は40%取り消しされたという。1日だけでパリは合計10億ユーロの損失額と推定される。

 12月10日、マクロン大統領が沈黙を破りツルの一声宣言。1/最低給与(税込現1310€)を100€増給(黄色いベストたちはたったの100€!と怒る)。2/一人者の年金には、一般社会貢献税(CSG)は課税しない。3/残業手当には税・社会保障費ゼロ。4/企業投資に貢献する富裕税(ISF)は堅持するなど、大統領は下層庶民の生活難を知らないのだとジレ・ジョーヌらは、ますます革命的闘志を燃やす。マクロンを「ギロチン(辞任)に!」と革命時代の民衆に変身しつつある。

EU 圏外からの外国人学生の登録料を大幅に値上げ

 世界中で大学が「ほとんど無料」という神話が通ってきたフランスの高等教育に魅せられて、アフリカの元仏植民地諸国から来て いる留学生は全学生の45% (マグレブ諸国24%+他のアフリカ諸国21%)。2015年ボルドー大学に中国から数十人の学生が労働を目的に賄賂を使って入学した問題が浮上したこともあった。

 イギリスや米国の有名大学で学ぶため、数十万㌦の学費ローンを卒業後も返済しつづける元大学生がかなりいるのに比べて、フランスの大学は学士課程で年間170€、修士課程は年間243 € 、博士課程は380€の登録料を払うだけでいい。しかし、財政難ため従来の伝統をつづけることは不可能と、EU圏外から来る外国人学生については登録料を学士課程は年間2770ユーロ、修士・博士課程は年間3770ユーロにする方針を政府が発表した。特にソルボンヌに集まる非EU外国人留学生の懐をあてにする。今日、34万人いる外国人学生を高等教育省は8年間に50万人に増やす大学の産業化に意気込む。アフリカの若い人材を育てるより、内戦や飢饉がつづくアフリカの発展政策の芽が出る前につぶす方向に進んでいるのである。

高校生もマクロン政権に反旗をひるがえす。

 12月初め以来、全国の 高校約400校で生徒たちが騒ぎ始め、校舎を封鎖したりして、警備隊と衝突し、イヴリーヌ県マント・ラ・ジョリ市では 146人の高校生が拘束される(捕虜兵士のように壁に向かってつまずかせられた場面をメディアが報道)。彼らが反対しているのは、ブランケール教育相が準備を進めている高校改革案の中で、特にバカロレア制度の改革案だ。2021年から、高1から科学、文学、経済をなくし、一般教養とテクノロジー科に分けられ、バカロレアの採点に通常の成績も考慮される。生徒の選択科目の専門化が強められ、高1の生徒は1月中旬(2学期初め)に選択科目リストを知らされ、6月に最終的に選択する。12の科目から10~12科目を選び、農村・過疎地帯は5科目くらい。生徒が希望する科目を教える高校が50キロも離れていることもあり、学校により選びたい科目の数が異なるという不平等な高校教育となる。抗議に立ち上がった高校生らは、この点とバカロレア制度の改変案撤回を叫んでいる。高1から進路が決まってしまうからだ。

7日マント・ラ・ジョリ市での高校生取り調べ場面(住民のツイッターからメディアが報道)

 

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