90年代にフランスは放射性廃棄物の貯蔵地として、仏北東部ムーズ県のビュール村(現在人口80人)の地下を選んだ。以来そのプロジェクトへの反対運動が続いている。2月22日、現地の農業従事者や反対団体「脱核」の活動家たち約300人が村のルジュック森にある小屋に立てこもり、機動隊500人が出動、9人の活動家が逮捕され、2人が勾留され、反対派の小屋も破壊された。
放射性廃棄物管理公社(ANDRA)のラボラトリーが04年に設置されて以来、放射能を浴びた衣類の洗浄所などの他、核燃料廃棄物関係施設が林立し始めている。近いうちに仏電力の核燃料関係の保全基地も設立される。
1970年代から50年間、西部のノートルダム・デランド空港建設計画に対し、反対運動を続けてきた2世代の農業従事者や環境保護団体活動家たちがついに2018年1月19日、政府に同計画を断念させた。しかし原発国フランスの核燃料廃棄物貯蔵という永久的問題が存在する。
現在フランスは、ラ・アーグの再処理場と南部ローヌ川付近の、70年代から存在するマルクール原子力地区の敷地に使用済み核燃料廃棄物をガラス固化体にして貯蔵している。
放射性廃棄物貯蔵地建設プロジェクト
20 年以上前から続いている、この放射性廃棄物貯蔵地プロジェクトについての3月2日付リベラシオン紙の解説記事によれば、ANDRAが立案した地下貯蔵産業センター(Cigéo)のプロジェクトは90年代に開始され、500メートルの深地層の岩盤中に250mの坑道を掘り、8万㎥の放射能高レベルの、ガラス固化した廃棄物を貯蔵するというもの。その廃棄物の18%は、高度の可燃性をもつという点で、原子力安全局(ASN)などは、地震などに対する耐震建築構造を要求している。ASNのこのプロジェクトへの建設認可を2019年中に得たいところ。建設費用は最低250億ユーロと見積もられている。さらに国会の同意を得た後、2035年から放射性廃棄物を石棺に入れて貯蔵し始めるという。
人類に永遠につきまとう放射性廃棄物処分
科学者によれば、坑道壁面の浸食や浸水がないかぎり、放射能は40万年間は地表に表れることはないという。そのときには放射能レベルは現在の1000分の1に減るのだという。さらにその貯蔵法に、最低100年後に交換できる可能性を与え、それまでによりよい貯蔵法が見つかれば、別の貯蔵法に切り替えることを可能にするという。
気の遠くなるような放射性廃棄物の処理法である。数千、数万年後の世代に後始末を任せるというのだろうか。