ブラボー! メルシ―!! レ・ブルー!!!

「再びチャンピオンに!」(Libération : 18-7-16)

 7月15日モスクワのルジニキ・スタジアムで開かれた仏対クロアチア決勝戦の90分間、仏国内の主な広場の大スクリーン前には群衆があふれ、または自宅のテレビ前で、世界中のフランス人が息もつかず、しぶといクロアチア・チームとの攻防戦に手に汗握って見入った。

 レ・ブルー(フランス代表チームの愛称)の監督、ディディエ・デシャン(49)は20年前の1998年パリ・ワールドカップで優勝をものにした元選手。20年後のレ・ブルーの中には生まれていなかった選手や、5、6歳の少年だった選手たちも。いま19歳から33歳までの選手らを技術的にも精神的にも導いてきた監督として、誠実・実直なディディエ・デシャンに全国民は勝利の祝杯を捧げるべきなのだ。

 

選手の親がどこの出身であろうと、肌の色など関係ない
 6 月16日レ・ブルーが立ち向かう一連の試合の火ぶたを切った対オーストラリア戦(2-1)、そして対ペルー戦(1-0)、対デンマーク戦(0-0)、対アルゼンチン戦(4-3)、対ウルグアイ戦(2-0)、準決勝の対ベルギー戦(1-0)と勝ち抜き、決勝戦の対クロアチア戦(4-2)で2度目の世界チャンピオンに輝いた。期待を一身に担ったゴールキーパー、ロリスを始めリーダーのグリズマンやポグバ、ムバペ、パヴァール、カンテ、ヴァランヌ、ジルー…ら素晴らしいブルーの選手たち。

 20年前のヒーローはジネディーヌ・ジダンだったけれど、当時のシラク大統領はサッカーのルールも選手名も知らず、「Black Blanc Beur(白・黒・ブール-移民第2世代)」の栄光を祝ったものだが、今回この言葉が聞かれなかったのは、これは20年前の多文化世代への呼称だったが、今、彼らはフランス共和国国民として誇りを持っているのだ。両親が旧植民地出身なのか知る必要もなく ポグバ やムバペ、カンテ、ウムチチ、マツディとフアンたちが呼び合い選手個人として評価されるようになった。準決勝でレ・ブルーがベルギーを下し感動したグリズマンが言った言葉「ぼくたちはフランス人であることに誇りをもつべきだ」が選手一人一人の胸に共鳴したようだった。サッカーは郊外コミュニティ青少年の不良防止のスポーツという、世間にありがちな偏見も今回、国民を結束させたこのワールドカップでかき消されたよう。サッカーは、ミュージシャンや俳優の卵になるのと同じくらい、親も子も情熱を傾けられる大きな夢となったのである。

 

マクロン大統領への最大のプレゼント
 マクロン大統領は、国際会議の合間を縫ってベルギーとの準決勝にも馳せ参じ、15日の決勝戦はもちろんのこと、プーチン大統領と一緒に観覧席で、レ・ブルーが点を上げるたびに飛び上がっての応援を惜しまなかった。選手控え室では選手たちと感激し合い、彼らを自分のセルフィーで撮って喜び合っていた。決勝戦を控えた14日パリ祭夜のシャンドマルス大コンサート後の大花火には50 万人。15日の朝から再びシャンゼリゼは群衆の波に埋もれた。そしてシャンゼリゼをスカイバスに乗ってエリゼ宮に向かう選手たちを熱狂して出迎える老弱男女30万人。その後エリゼ宮庭園に子供を含む3000人のサッカー愛好家・家族らが招かれ、大統領夫妻も一緒に国歌マルセイエーズを合唱し街にとどろかせた。

 フランスはアートの国、モードの国、ガストロノミーの国、パルファン(香水)の国に加えてサッカーの国として世界に君臨し得るのである。4年ごとにくるワールドカップへの夢がサッカー選手の育成をますます盛んにしていくことだろう。フランスは、スペインやブラジル、ポルトガル、英国、ドイツ、アルゼンチンなどと肩を並べるサッカー大国の仲間入りしたのである。

「延長」(Libération : 18-7-17)