エイズ30年、その第1世代の高齢化。

エイズが世界に蔓延し始めてから30年。12月1日が世界エイズデーと定められた。今日、世界のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染人口は3670 万人。2016年に180 万人がHIVに感染し、100万人が死亡している。子どものHIV感染は2010年以来、47% 減少。抗HIV治療を受けている人は全体の53%に当たる1950 万人。仏国内だけで感染者は15万人、そのうち推定2万5千人はHIVに感染していることを知らない。なぜなら、感染時から潜伏期を経て10年後の血液検査でそれがわかる場合もあるからだ。リヨネル・マビーユ=エイズ専門医の解説サイトによると、HIV 感染の危険性がある性関係後、2〜6カ月後にも新たに検査を受ける必要があるという。

今日、年に約6000人(男性69% 、女性31%)が新たにHIVに感染しているとみられる。ル・パリジャン紙(17-12-1)は、「HIV感染者への根強い偏見」と題して統計会社SCAの調査結果を掲載。就労者の16%、18 〜24歳の若年層の30%はHIV 感染者の同僚と共に働くのは感染を恐れ、抵抗があるという。またHIVに感染したあと、雇用契約が更新されないケースもあるという。

エイズ第1世代の今後。
90 年代、今から20〜30年前にHIVに感染した同性・異性愛者や、注射によって感染した麻薬摂取者たちは、抗HIV療法によってHIVを抑え込みながら約1万人が60代以上になっている。ル・モンド紙(17-12-2)に載った69歳の女性A さんは、28 年前にHIVに感染し、4人の子どもと8人の孫を持ちエネルギッシュに定年生活を送っている。初期から呑んでいた24種の薬が今は4種に減ったという。抗HIV薬の副作用には、高血圧症や消化不良、不眠症、骨粗しょう症、糖尿病、早期老化など。またこの世代以上のHIV感染者のうち、医療付高齢者施設に入っているのはたったの100 人程度だという。そうした施設の介護人はHIV感染者対応の養成も受けていない。30年来、HIVを抱えている63歳の男性は、「できるだけ早くHIV感染者だけを収容する高齢者施設の設置を望む」ともらす。


若者はどうなのか。

10 年前までは性関係を持つときにはコンドーム(préservatif)が不可欠というキャンペーンがなされたものの、若者たちは、コンドームを使うと快感が半減するとか、持ち合わせがない、つい忘れてしまうなど、コンドームの着用を重要視していない。学生ミュチュエル保険Smerep Mutuelleの調査によると、大学生の30% は一度もコンドームを使わず、29%はたまに使うだけで、61%は「忘れがち」。女性は酔ったときなど「まあ、いいや」とパートナーに寛容になりがちだ。 人工中絶率が一番高い20〜24歳の女性の望まざる妊娠を防ぐためにも、男性以上に女性の気遣いが必要なよう。
現在、95%の中学・高校にはコンドームの自動販売機が設置されているのだが、2013年4月4日付のExpress誌に載った故ピエール・ベルジェ-シダクション協会会長はインタビューで、当時のペイヨン教育相に、中学・高校でのコンドームの無料配付化を進め、性教育でエイズについての教育に力を入れるべきだと助言していた。

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