プルーストの『失われた時を求めて』に出てくるマドレーヌのオリジンは、100年前にロレーヌ地方のパティシエール、マドレーヌ・ポルミエが考え出した貝型のお菓子。でも「マドレーヌのように泣く」という表現の由来は、新約聖書の中で、マグダラのマリ(後にマリ・マドレーヌ)と呼ばれた娼婦が、イエスに会った時、改悛することを誓い、イエスの足もとを涙で濡らしたのが1回目の涙。そしてイエスが復活することを彼女に初めて知らせた時、2回目の涙が流れる。そこで「マドレーヌのように泣く」は、罪を悔い改めて涙を流すこと。〈la Sainte pêcheresse 〉(罪深き聖女)は「マグダラのマリア」のこと。バルザックも作品名は忘れたがこの表現を使っている。