〈Fumer une cigarette)(タバコを吸う)はあまりにもありきたりな表現。フランスで、タバコを〈une sèche〉と呼ぶようになったのは、19世紀半ばのことだが、その後、それに代わったのが一本ずつ指で煙草を巻紙に巻いて端を唾で湿らせて巻く〈une clope〉(手巻き煙草)という言葉が使われるようになった。つまり〈une sèche〉は工場生産のタバコを意味していた。20世紀初期に男性形の〈un clope〉は〈un mégot吸い殻〉を意味していたが、20世紀後半からは女性形の〈une clope〉がタバコ全体を意味するようになった。
〈une clope〉の語源は、ギリシャ語の〈ciclope〉から来ており、19世紀の民衆動詞〈cicloper〉(切る)として使われ、手巻き煙草を仲間と2分、3分して分け合うことから、〈une clope〉が一般化したという。