Donner sa langue au chat(さじを投げる)76

17世紀の作家セヴィニエ夫人の時代は「さじを投げる」ことを〈Jeter sa langue au chien〉(犬に舌を投げる) といったのだが、どうして犬ではなくネコになったのかというと、ジョルジュ・サンドが〈Mettre quelque chose dans l’oreille du chat〉(ネコの耳に何かをささやく)と書いたように、ネコには秘密を打ち明けられ、『長靴をはいた猫』は別だけど、口外せず仕舞っておくので、答えが見つからないときなどは(ネコに舌をやって)「さじを投げる」ことになる。〈jeter〉(投げる)は犬にはいいけれど、ネコなら〈donner〉(やる)のほうが合う。