【特集】ブレストの休日。

 真夏でもさほど暑くならず、「避暑地」というにふさわしいブルターニュ地方。さすがに今年は39℃を記録したと話題になったものの、やはり豊かな自然と海に恵まれ、休暇をすごす地として選ぶ人は多い。近年増える地方移住希望者のあいだでもブルターニュは人気が伸びているという。  今回はその地方でも、少し特異なブレストの町を訪れた。ブルターニュ半島が西に突き出たその突端、Finis terrae (地の果て)を語源とするフィニステール県の最大都市。地形がつくった自然の防波堤によって嵐や大波から守られたブレスト湾 Rade de Brest入口あたりに位置する。この広大なブレスト湾では、漁業もさることながらマリンスポーツも盛んで、4年に一度の「海洋フェスティバル」には、世界から美しい船がやってくる(次回は2024年)。 地中海に面したトゥーロン港とともにフランスの2大海軍基地であり、仏海洋開発研究所IFREMERの本部も置かれている。また、政府が定めたフランス産業クラスター/競争力拠点として、海洋エネルギーやバイオテクノロジーの研究・開発も盛ん。「地の果て」ではあるかもしれないが、どうやら海においては中心のようだ。飾らないけれど、魅力のあるブレストの町を歩いてみよう。(集)