名前。2、3文字の限られた文字数のなかに、子どもの将来への希望や、国や地方などのオリジン、理念や価値観を盛り込もうと考え、悩む。立派すぎて名前負けしたら子どもがかわいそうだし、重荷になるのもよくない。かわいすぎる名は、年老いた時に困る。流行に乗りたくないが、古くさい名も避けたい。名前の選択は、親が 「私たちは、子どもにこういう名前をつける、こういう人たちです」という親自身の表現でもあるから、生後5日以内に出生届を提出するまで、詩作のような楽しい悩みが続く。 「名前の選び方」アンケートでは95%の人が「名前の響きの美しさ」が大切だと答えている。姓と名の調和(58%)、オリジナリティ(56%)、名前が示す社会階層性(58%)、名の起源(50%)と比べて断然多い。 家族の名前を子に継承させる習慣が薄れ、好きな名前を選べるように法律が緩和され、フランス人の名前が変化している。フランスにいる世界の人々が出身国に由来する名前をつけ、アメリカのテレビドラマの登場人物に憧れて名前を選ぶ。日本に血縁関係がなくても、日本名をつけるフランス人も、それほど珍しくなくなってきた。今回は、知れば知るほど面白い、名前のお話。(六)
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