「反破壊分子法 Loi Anticasseurs」と、治安部隊の暴力。

2/5付リベラシオン紙

 「黄色いベスト」の毎土曜のデモは、「大討論」進行中も全国で続いている。政府はデモの破壊分子を規制する名目で、昨年10月に元老院で保守の共和党(LR)が提案し可決された法案に手を加え、「反破壊分子法」を国民議会に提出。2月5日に採択された(賛成387、反対92、棄権74。3月上旬に元老院で採決後修正し、最終法案作成にはさらに数カ月を要する)。与党の共和国前進(LREM)内では審議中から批判が出て、採決では50人の議員が棄権(欠席16人)した。これまで全て大統領と政府の思惑通り、機械人形のごとく投票してきた与党議員が動揺したほど、この法案には危険な落とし穴が隠されている。

判事ではなく知事が個人に対してデモ参加を禁止できる第2条は、独立した司法が持つべき権限を行政・警察に委ねる「緊急事態令」下と同様、「例外」の恒常化である。また、明瞭な事実に基づかない「破壊分子の疑い」という曖昧な推察だけで禁止が可能になる。基本的人権である「デモの自由」の侵害だ、と弁護士、法学者、人権団体、左派政党などが一斉に批判した。

テロ対策が名目の「緊急事態令」下(2015-17)、デモ禁止命令は700回以上出され、エコロジストや労働組合員、反原発活動家に適用されたのだ。第2条以外にも、デモ近辺での身体・荷物・車内検査を許す、禁止された者を指名手配人リストに加える、デモの際に顔を覆うと軽犯罪(禁固1年、罰金15000ユーロ)になるなど、破壊予防を口実にデモの自由を制限し、行政・警察による市民の監視を強める内容だ。

 一方、デモの際に治安部隊の過剰な対応で、参加者側に2000人の負傷者(重傷100人以上)が出ていることに政府は言及しない。片目や手の喪失、頭部などの重傷で身体障害を負った人がこれほど多数出たことはアルジェリア戦争(1954-62)以来ないのに、主要メディアは2カ月間それを報道しなかった。

「黄色いベスト運動」が始まった11月以降、治安部隊による多くの負傷者のケースが報告されている(写真はダヴィッド・デュフレーヌTwiterから)。平和に行進していた人、仕事中のカメラマンなどに多くの負傷者が出ていることを欧州議会や国連も批難。

治安維持について取材・調査を続けるダヴィッド・デュフレンヌの報告が1月中旬に数メディアで報道され、ゴム弾銃(LBD40)や催涙手榴弾(GLI-F4)など他の欧州諸国で使われない武器の濫用が問題になった。人権擁護団体LDH、服従しないフランス(LFI)をはじめ、これら危険な武器の使用禁止を求める声が強まり、黄色いベスト第12行動は負傷者に捧げられたが、カスタネール内相は聞く耳を持たない。

デモ制限法、黄色いベスト・デモ時の大量逮捕と多数の重刑宣告に加え、インターネット新聞メディアパルトへの家宅捜査の試みなど、政権は強権支配への危ない道を進んでいるようだ。(飛)