リンゴ、シナモン、バターの三拍子がうれしいパイを焼く。

Galette aux pommes à la bretonne

 子どもの頃になによりも好きだったものといえば、ときどき父が仕事帰りに古町(新潟市)の洋菓子屋で買ってきてくれたアップルパイだった。バターの風味が豊かなパイ皮、その中にはシナモンの香りがするとろけそうなリンゴ…。今でも記憶の中によみがえってくる、その味を再現してみました。

 リンゴは今が旬といってもいいから、八百屋にはさまざまな品種が並んでいるが、このレシピには軽い酸みがあるレネットなどがいいだろう。折り込みパイ生地は、出来合いのものを使うが、「pur beurre」と明記されたバターたっぷりのものを2枚買ってくる。

 リンゴは皮をむいて四つに切り分け、芯を切りとってから小さく切り分ける。厚めの鍋にバターを多めにとってリンゴを加え、
中火で炒めていく。柔らかくなって身が少しくずれはじめたかな、という頃合いにシナモンと砂糖を加えて混ぜ合わせ、もう少々火を通したら、冷ましておく。砂糖の量は好みで、大さじ2、3杯というのが目安だが、ぼくは、ハチミツを大さじ2杯ほど加えることにしている。

 オーブンの目盛りを180度に合わせて点火しておく。

 折り込みパイ生地を広げ、生地の縁3センチほどを残すようにしてバター炒めしておいたリンゴを敷く。その上にもう1枚の生地をかぶせ、縁を指先でしっかりと押さえつける。卵黄を椀などにとってよくほぐし、刷毛でパイ生地の表面に塗る。ペティナイフやフォークで好みの飾りを描き、真ん中に蒸気が抜けるように小さな穴をあけ、熱くなっているオーブンに入れる。30分くらいできれいな焼き色がついたらでき上がり。少し冷ましてから味わう。

 1月最初の週末前後、ガレット・デュ・ロワがパン屋の店頭に並ぶけれど、かわりに、フェーヴを入れてこのリンゴ入りのガレットを作ってみたらどうだろう。いつものアーモンドクリームのとはひと味違ったガレットに、「こっちがうまい!」と拍手がわくかもしれない。(真)

折り込みパイ生地2枚、リンゴ1キロ、砂糖またはハチミツ、卵黄1個、バター、シナモン。

 

Pommes

 フランスでは果物の中ではリンゴが一番人気で、一人、年に6キロちょっと食べているという。種類も豊富だが、ゴールデン・デリシャス、ガラ、グラニー・スミス、ピンクレディーなど外国産のリンゴが幅をきかせている。フランスらしいリンゴといえばレーヌ・デ・レネット (写真)。小柄で少々まだらに赤く、甘さと酸っぱさのバランスがよく、そのままかじってもいいし、砂糖煮やタルトにも向いている。リンゴは、豚肉料理の付け合わせに使われることも多い。血の腸詰、黒ブダンにリンゴを組み合わせる一品はわが家の定番になっている(819号)。

 

Compote de pommes
 リンゴの最盛期には、小さめだったりいびつだったりするリンゴが2キロで3ユーロなどと安売りされる。そんなときは砂糖煮。皮をむき、芯をとり、小さく切り分ける。これを鍋にとり、水、レモンの搾り汁、砂糖、シナモン粉を加えて弱火にかける。形を残したいときは30分くらい煮てからマッシャーで粗く押しつぶす。なめらかな舌ざわりにしたいなら、40分ちょっと火を通しミキサーにかける。タッパーなどに入れて冷蔵庫で保存。そのままヨーグルトに入れたりして味わえば、どんどん減っていく。
リンゴ1キロ、砂糖大さじ3~4杯、水100cc、レモン半個分の搾り汁、シナモン粉少々

 

Crème d’amande (frangipane)
 お店で買うガレット・デ・ロワは高い。来年は自分で焼いてみよう。中に入るのはアーモンドクリーム。まずバターを大きめのボウルにとって室温に置きポマード状にする。砂糖を加え、やや白っぽくなるまで泡立て器で勢いよく混ぜ合わせる。次に卵1個とアーモンド粉約1/3を加えて混ぜ、均一になったら残りの卵とアーモンド粉も入れて混ぜ合わせる。そのあとは今回のレシピどおり。フェーヴ(陶器製の小さな人物や動物)をアーモンドクリームの端の方に入れること忘れないように!
バター100g、砂糖90g、アーモンド粉230g、卵3個。