「écocideエコサイド」環境破壊の罪。

5月7日付 ルモンド紙

 

 132カ国の政府が参加する「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)は5月6日、「人類の活動のせいで動植物100万種が絶滅の危機にある」というショッキングな報告書を発表した。

ヨーロッパではミツバチや昆虫、鳥類がここ数十年で激減していることがその前から指摘されてきた。人類も含む生物の滅亡を防ぐにはどうしたら良いのか。その答えの一つが「エコサイド(フランス語ではエコシッド)」を法的に認知し、環境を破壊した人や企業、政府を罰することだ。

エコサイドのエコは、家を意味するギリシャ語の「オイコス」で、エコシステム(生態系)のエコの語源でもある。サイドは「殺す」を意味するラテン語から来ている。エコサイドとは、一定区域の環境を悪化、消滅させて、人々から平和な暮らしを享受する権利を奪うことだ。

 現在、国際刑事裁判所では、人道に反する罪、戦争犯罪、ジェノサイド、侵略犯罪の4件を扱っている。4月に亡くなったイギリス人国際弁護士ポリー・ヒギンズは、エコサイドもその中に含めるべきだと長年主張してきた。エコサイドが加われば、政府要人や企業のトップを裁くことができ、環境破壊への大きな歯止めになるからだ。

 ヒギンズの運動とは別に、エコサイドの罪を国際法で認知させようという法律家集団「エンド・エコサイド・イン・ユーロップ」ができ、その後「エンド・エコサイド・オン・アース」に改名した。エンド・エコサイドのメンバーは2016〜17年にオランダのハーグであった市民法廷「国際モンサント法廷」の主催者側だった。裁判官たちはモンサントの有罪を認め、エコサイドを国際法で認知することを訴えた。法的効力のない市民法廷だが、ここでの報告書はエコサイドを国際法で認めるか否かを決める判断材料の一つになる、とモンサント法廷の裁判長は言う。しかし、いまだに国際法で扱われていない。

 5月2日、上院で社会党の議員数名が 「エコサイドの罪をフランスの刑法に加える」法案を提出したが、却下された。法案は、有罪の場合は禁固20年、750万ユーロの罰金を提案していた。EU議員選に出馬するジェネラシオンの党首、ブノワ・アモンも、エコサイドの罪を国際法と国内法で裁くことを主張している。IPBESの報告書の効果で、彼らのような政治家は増えるだろうか。

 エンド・エコサイドは、エコサイドとして訴えられる可能性のあるものとして、ギリシャの金鉱開発、福島原発事故、インドネシアのアブラヤシ栽培などを挙げている。(羽)