ブザンソン:美術館を訪ねる旅。

3本角の牡牛はガロ・ロマン時代の聖獣。

 フランシュ=コンテ地方の中心ブザンソンは城塞都市。蛇行するドゥー川に挟まれた土地にそびえるサン=テティエンヌ山の頂上に、ルイ14世治下の軍事建築家、セバスチャン・ル・プレストル・ド・ヴォーバン(1633-1704)が造ったシタデル(城塞)がある。フランシュ=コンテはフランス領になる前はスペイン・ハプスブルク家の領地だった。それを戦勝で併合したルイ14世は、防衛目的でヴォーバンにシタデルを造らせた。彼がフランス各地に造った防衛施設の中でも、ブザンソンのものは傑作と言われている。国内にあるその他の11の防衛施設とともに、2008年にユネスコ世界遺産に指定された。

 シタデルに上ると、山々と町を流れるドゥー川が見渡せる。山があり川があり、川の周囲に町並みが見え、軍事上重要な拠点だった点で、織田信長が居住した山城である岐阜城に似ている。シタデルだけでなく町のたたずまいを見ても、ブザンソンには地味だが実力のある古武士のような風格だ。フランスが誇る大作家で人権活動家のハシリであるヴィクトル・ユゴーの生地でもある。まったく違う分野の美術館と博物館が複数あり、文化水準は高い。11月には 「ブザンソン美術・考古学館」が新装オープンした。この美術館を中心に、町のミュージアム巡りをしてみよう。(羽)

取材・文・写真:羽生のり子

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