Clairefontaineのノート

1990年代に発売され人気の高かった「マドラス柄」ノートを創業160周年を記念して復刻。

 長髪女性の横顔のマークが目印のクレールフォンテーヌのノートは、フランスでは昔から馴染み深い。学校の配るリストを片手に「grands carreaux(大きな方眼)」、「petits carreaux (小さな方眼)」といった子どものノートをそろえるのは、毎年9月の新学期の年中行事。ノート類のほか、コピー用紙、アジェンダ、封筒、便箋、画材用紙、印刷用紙などを製造するクレールフォンテーヌ社は今年で創業160周年。ヴォージュ山脈麓の小さな町に創業時からの工場がある。

 エティヴァル=クレールフォンテーヌ駅に近づくと巨大な工場(40ha)が線路沿いの広い区域を占めているのが目につく。ムルト川の水に恵まれたこの地方ではすでに1512年に紙の生産が行われていた。産業として確立したのは、1858年にジャン = バティスト・ビシェルベルジェ氏が「Papeteries de Clairefontaine」を設立してからで、この地方に栄えた繊維産業から出る布切れから紙をすく事業を始めた(木を原料に使うようになったのは息子の代から)。1882年には封筒とノート類も生産するようになり、20世紀初めには1100人の従業員を擁する企業に。 1928年には創業者の孫娘の子シャルル・ニュスが、パリ10区のサンマルタン運河沿いにExacomptaの商標で会計簿や手帳を作るアトリエを設立した (現在も操業)。 90年代にロディア、クオ・ヴァディス (798号で紹介)を買収し、今は50の子会社を持つExacompta Clairefontaineグループとして紙関係の文房具メーカーでは仏トップだ。

エティヴァルの工場は製紙とノート類の製造がメインで 580人が働く。以前は97%仏産パルプを使っていたが、国内のパルプ製造は衰退し、今はブラジルや北欧からの輸入がほとんど。分厚くて荒い画用紙状のパルプを大タンクで水に溶かしてドロドロにした液を幅3.4mの細かい網に均一に乗せて紙をすき、次にプレスで水分を絞った後、加熱したシリンダーを通して乾かす。水がジャージャーと落ちていく一連の巨大な機械は壮観だ。さらに塗工、艶出しなどの工程を経て紙が出来上がる。ノートにするには紙に升目を印刷して、裁断、製本する。工程はすべて自動化されており、年間16.5万トンの紙、1日12万冊のノートを生産する。同社は環境保護にも考慮しており、パルプ原料は持続可能な森林から、切り落とした紙切れはリサイクルされ、古紙リサイクルの製紙工場も持つ。ムルト川から引く大量の水の廃水は自社で処理して川に戻している。

 クレールフォンテーヌのノートの紙はすべすべして、にじんだり、裏側に透けたりしにくい上質の紙だ。創業者から5代目に当たるグループ元副社長ジャン=マリー・ニュスさん (現相談役/80歳)は、「ペーパーレス時代だからこそ、高品質紙、美術用紙やデジタル写真の印刷用紙などの特殊紙が求められる。そのニーズに合わせて製品を多様化するのが当社の戦略」と言う。

 ところで、2㎜幅の罫線4つで方眼を成す grands carreauxは、1892年にJ.A.セイエス氏が考案したフランス独特の方眼で 「セイエスSéyès」と呼ばれ、文字をきれいにそろえて書くためだそうだ。紫のラインは目の疲れを防ぐためなのだと教えてもらった。(し)

www.facebook.com/clairefontaine.jp