日常の裂け目からじわじわと…。 映画『L’Infirmière よこがお』フランスで公開。

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  フランスでは8月5日から、深田晃司監督の映画『L’Infirmière』(原題は『よこがお』)が劇場公開となる。深田監督は表現のパレットが多彩な人。これまでも不条理系(『歓待』)、爽やか系(『ほとりの朔子』)、哀愁ディストピア系(『さようなら』)などなど、自分のカラーを決めつけることなく、大胆に映画の挑戦を続けてきた。

今回は監督の代表作で、カンヌ映画祭「ある視点」部門・審査員賞受賞作の『淵に立つ』に繋がる”じわじわ系”。気がつくと平凡なヒロインが、日常の密やかな裂け目からじわじわと奈落に滑り落ちてゆくヒューマン・サスペンスだ。主演は『淵に立つ』で鮮烈な印象を残した筒井真理子。原題が表すように、横顔の美しい筒井さんに当て書きされた作品だという。

 市子(筒井真理子)は訪問看護婦。女性ばかりの大石家に通い、認知症が始まる祖母の世話を献身的に続けてきた。大石家の母親や二人の娘たちとも良好な関係を築き、まるで家族の一員のよう。ある時、中学生である次女が行方不明に。誘拐犯が市子の身内であったことから、ドラマに暗雲が立ち込める。誘拐事件はテレビでも報道され、注目を集めることに。連日、マスコミが自宅や職場に押しかける。事件をジャッジするのは警察や裁判ではなく、あくまでマスコミだ。そして、マスコミに誘導されるのは、不特定多数の善良そうな市民。その感情の流れは不気味なうねりを見せる。うねりに巻かれるのはきっと誰でもよく、見ていて「明日は我が身」という感じがする。

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 1994年に起きた松本サリン事件など、メディアのミスリードが引き起こした冤罪事件を思い出す。まさに集団パラノイア。ひとつの見方に囚われると、それしか見えなくなるのは人間の性だろう。一方、映画が見つめる市子の佇まいは曖昧。次々と多様な「よこがお」を見せる。善良のようで怪しく、聖母のようで魔性の魅力がある。地味で地道な女性のようで、爆発寸前な危うさも抱える。誰にも似てないようで、誰とも似ているような不思議な存在感。役どころが広く、どのギアに入れてもすっと入るニュートラルな女優・筒井真理子の本領発揮だろう。

 『L’Infirmière』はフランス語で「看護婦」。コロナ禍では世界中の人々があらためて感謝の気持ちを送った職業であるが、同時にハラスメントの標的にもなった。今回本作は劇場公開に当たり、長野市が旗振り役のクラウドファンディングによる日本の医療従事者向け応援募金活動にフランスから参加する。youtubeでの予告動画視聴、「like」やコメント、または邦画を紹介する映画コミュニティHanabiのyoutubeチャンネルを登録すると支援金に加算される。さらに、映画『L’Infirmière』の先行上映(8月4日まで)での売り上げの一部もこちらの支援金に加えられるという。(瑞)


◆日本の看護婦応援企画の紹介
http://www.hanabi.community/events/contre-le-harcelement/

◆映画『L’Infirmière』予告
https://www.youtube.com/watch?v=BJ-xtEaKvqY

◆邦画を紹介の映画コミュニティHanabiチャンネル登録ページ
https://www.youtube.com/channel/UCPeHCIkRPq1lY2kfUaFomRw

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8月5日、深田晃司監督の『よこがお(仏題 L’infirmière)』がフランス公開されるのを記念して、招待券を10名様にプレゼント(お一人様1枚)。お名前、ご住所もお忘れなく。応募締切:2020年8月3日


 

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