モンテーニュの食と喜び〈第5回 〉 優しさのなかの厳しさ 2020-10-09 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム 教育は「優しさの中に厳しさをこめて」と説いた思想家モンテーニュは、子供が幸せに生きていくためには、ときに過酷な経験をさせることも重要だとしている。「お子様を苛烈な訓練に馴らし、そうして脱臼や、疝痛(せんつう)や、焼灼(しょうしゃく)や、牢獄や、拷問などの艱難(かんなん)辛苦にも [...]
モンテーニュの食と喜び〈第4回 〉子どもには、甘くやさしく? 2020-09-10 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム モンテーニュの父親は、時の王フランソワ一世が文芸に寄せる愛着に大いに影響されていた。自らに高い学識はないものの、いや、むしろないからというべきか、知識人に強い憧れを抱いていたこの好人物は、愛する息子にはぜひ立派な教養をつけてやろうと考えた。そこで、当時の知識人が共通言語として使 [...]
モンテーニュの食と喜び〈第3回 〉 自分と人にやさしい食 2020-08-09 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム 「私は普通の精神しかもっていないから、肉体的な幸福によって自分を支えなければならない」(原二郎訳)とその著書の中で明言しているモンテーニュ。「われわれは年齢が、われわれの手から次々と奪い去る生活の楽しみを、歯と爪でもって食いとめなければならない」と、快楽に執着する自分の姿をさらけ [...]
モンテーニュの食と喜び〈第2回 〉じらして得る快楽 2020-07-09 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム 16世紀フランスの思想家モンテーニュは、快楽を求めるルネサンス人だった。定期的に行う断食にしても、特に老人になってからは、食欲を刺激して食べることを楽しむためだとしている。「私は、ゆっくりと少なく食べ、そして何べんにも食べるほうが健康によいと思う。けれども、食欲と空腹にもその真 [...]
モンテーニュの食と喜び〈第1回 〉ルネサンスの偉人 2020-06-09 モンテーニュと食の喜び 0連載コラム ミシェル・エイケム・ド・モンテーニュ(1533-92)。この、ちょっと仰々しい名前の思想家は、ボルドーに近い貴族の家に生まれ育った。ルネサンス文化が花開いた16世紀フランスが誇るこの人物は、はやくも30代後半に法曹界をリタイヤし、念願の隠遁生活をスタート。途中、政治的な理由でボ [...]
ルソーの静かな食卓 〈15〉 2020-05-10 ルソーの静かな食卓 0 根っからの頑固さや被害妄想のせいで多くの友人たちと仲違いしたルソーが、亡くなる2年ほど前に書き始めたのが『孤独な散歩者の夢想』(1782年)。「こうしてわたしは地上でたったひとりになってしまった」(今野一雄訳)と書き出したルソーのかたわらには、しかし、妻のテレーズがいた。ある時 [...]
コロナ:パリ市長、5.11ロックダウン解除について。学校、交通、商店・飲食店支援、文化…。 2020-05-06 ニュースパリの出来事 0covid-19 アンヌ・イダルゴ=パリ市長は、5月5日付のル・パリジャン紙に、5月11日以降のロックダウンの段階的緩和のビジョンを語った。 【学校】 1クラスは可能であれば10人以下の少人数に(政府方針では15人まで)。幼稚園は1クラスを10人以下にすることを区長らと検討。5月14日時点で、生 [...]
ルソーの静かな食卓 〈14〉 2020-04-09 ルソーの静かな食卓 0 18世紀の哲学者ルソーの人生を振り返ると、その複雑怪奇な性格や、行動の矛盾に気づかざるを得ない。その中でも特に驚かされるのが、後に多くの貴族も手本としたといわれる教育書『エミール』(1762年)を書いておきながら、自らの子どもを実に5人とも孤児院に入れたという事実。 もっとも、 [...]
Tonnellerie Rousseauのワイン樽 2020-03-23 MADE IN FRANCE 0連載コラム ワイン樽から少量のワインを抜いて試飲する光景。これは実際に体験しなくとも、フランス人の頭にすり込まれた原風景と言ってもいいかもしれない。ステンレスタンクが主流となった今でも、あるレベル以上のワイン(大体15〜20€以上)は木製の樽で発酵・醸成される。その樽造りを見るため、高級ブ [...]
ルソーの静かな食卓 〈13〉 2020-03-11 ルソーの静かな食卓 0連載コラム 何においても「節制」を美徳とする哲学者ルソーだけれど、何も、日常の小さな悦びを否定しているわけではない。ごく若い時から、甘いものとワインは暮らしの中のささやかな慰めだった。『告白』(1770年)に、こんなくだりがある。「いったん大事な菓子パンを手に入れ、部屋にとじこもり、戸棚の奥 [...]