パリ空港の民営化は本当に必要なのか?

3月13日付 リベラシオン紙

 国民議会は3月14日に企業変革振興法(パクト法)第49条を可決した。パリ空港(ADP)の過半数株を国が保有する義務を削除する条文で、ADPの民営化が可能になるもの。同条文を否決した上院の2度目の審議を経て再び国民議会で可決されれば、春には最終成立する見込みだ。

 1945年設立のパリ空港公団は、2005年に株式会社化され翌年にはユーロネクストに上場。国の保有率は当時の67.2%から現在50.63%に下がった。ロワシー=シャルル・ドゴール、オルリー、ブルジェ空港のほか、首都圏の11の飛行場、さらに子会社を通して世界で20以上の空港を運営し、総利用者数で世界トップの空港事業者である。2016年にはADPグループと改名し、総売上44.7億ユーロ、純益6.1億ユーロ(2018年)の成長を続ける優良企業だ。

 ADP民営化には反対が強く、13〜14日の国民議会の審議でも政府と左右の野党との激しい応酬に。政府は持株(現在97億ユーロ相当)の売却益の利子を人工頭脳、ナノエレクトロニクスなどの技術革新計画のための基金に回すという。反対派は、国庫に1.73億ユーロの配当金(2018年)をもたらすADP株売却は財政面でも益はなく、国境警備面、騒音対策面で国の監視が手薄になると批判。政府の真の目的は国の債務を減らすことにあると指摘する。さらに、トゥールーズ空港の国保有分49.99%を2014年に買収した中国企業連合が会計監査院から経営を批判された上、同空港を売却する意向をこの1月に明らかにしている問題も指摘された。

 政府は保有株を20%維持する可能性もあると反論。ルメール経済相は「民営化」ではなく「70年のコンセッション」だと強調した。コンセッションは土地・施設等の資産を国が保有しつつ運営を委任する方式だが、パクト法では資産・運営権を売るとしており、政府の方針はあいまいだ。しかも、この方式では株価下落リスクのための株主への賠償金や70年後に資産を買い戻す費用が莫大になる可能性がある。一時的に国庫を救っても、70年後には損になるかもしれないのだ。

 2005年の法改正で民営化への道が開かれたリヨン、ニースの空港も2016年のマクロン法で民営化された。世界的に見ても国庫支援、資金調達・経営の自由、効率化のために空港民営化が進んでいるのは事実だが、ADP民営化はデメリットのほうが多いという野党の意見もうなずける。パクト法ではエンジー(旧仏ガス公社)の国保有分を3分に1下げる条項も可決されており、公営企業の民営化は着々と進んでいる。(し)