「黄色いベスト運動」で、マクロン政権は対応に苦慮。

リベラシオン紙11/24、25日号「この亀裂のツケは誰が払う?」

 軽油・ガソリン税引上げに抗議する「黄色いベスト(gilets jaunes)」運動が11月17日からフランス全国で展開されている。蛍光色の安全ベストを着た人たちが道路、高速料金所、燃料貯蔵所などを封鎖する抗議運動(17日で全国2034カ所)は26日現在も続いており、21日時点で死者2人、負傷者585人、599人が身柄を拘束された。

 17日は全国で28万人、18日は4.6万人、19日以降は1.5万人前後と参加者は減ったものの、24日には再び10.6万人に。ゲリラ的にバリケードや徐行運転で交通を麻痺させるため、少人数でも影響は大きい。「黄色いベスト」と運転手や警察との小競り合いが頻発し、サヴォワ県では封鎖を突破しようとした車による死亡事故も起きた。24日、パリではシャンゼリゼ大通りに8千人が押し寄せ、デモ隊に混じった暴徒が商店の破壊行為におよび治安部隊と衝突。海外県レユニオン島でも抗議が暴動化し、20日から夜間外出禁止令が5日間発令された。

 10月半ばからフェイスブック上であっという間に全国に広がったこの抗議運動は、政党や労組とは無関係の一般市民から発生した。11月6日に気候エネルギー貢献税(CCE)引上げが国会で可決されたことで、1月から軽油が6.5サンチーム/ℓ、ガソリンは2.9サンチーム/ℓ値上がりする。CCEは毎年上がる税だが、2016年初めまでは世界的な原油価格の低下のため増税は価格に影響しなかった。だが、2014年の環境移行法によって軽油への課税がガソリンと同等になり、ディーゼル車を奨励していた政策が180度方向転換したことで、燃料代上昇の上にディーゼル車は買い替えが難しくなってしまった。低所得者層の購買力低下に燃料代値上げが追い打ちをかけて庶民の不満が一気に噴き出した形だ。

 しかし、政府は環境保護に貢献する燃料税引上げの姿勢を崩さず、低所得世帯に対する、低汚染車への買替えのための援助を2000€から最高5000€に引上げ、電気・ガス代への支援「エネルギー小切手」を年150€から200€に引き上げる措置を打ち出した。だが「黄色いベスト」は、買い替えるお金のない世帯には無関係とそっぽを向いた。11月27日、「黄色いベスト」代表者はフランソワ・ド=リュジ環境連帯移行大臣に招かれ、話し合いを持ったものの進展は得られず、11月30日には、フィリップ首相との会談が予定されている。

 この前代未聞の運動は、世論調査によると74%の国民の支持を得ている。購買力の低下を感じている庶民には「金持ちの味方、都会の味方の大統領」というマクロン政権のイメージは簡単には変わらないだろう。車に頼らざるを得ない地方在住者の低所得世帯を直撃する燃料税上昇は、環境保護政策とは別の次元の問題だ。現政権はかつてない苦境に立たされている。

 運動は、高校封鎖や大学生にも波及する勢いで、著名人らも次々と支持を表明している。労組も運動への合流を訴え、ゼネストを呼びかける声もある。12月1日は「黄色いチョッキ運動・第3幕」として、サンラザール駅前、シャンゼリゼ大通り、ナシオン広場、レピュブリック広場などで抗議運動が行われそうだ。(し)