『Le Misanthrope人間嫌い』

© Comédie Française
© Comédie Française
 以前にも書いたモリエールの戯曲だが、別の演出で観るのも悪くない。 
 青年アルセストは、凡庸な道徳心を持つ親友フィラントに、欺まんや虚偽に満ちた世の中への嫌悪を語る。アルセストのメランコリー、彼の暗たんとした心の内が綴られる第一幕は永遠に続くのか…というほど緩慢。アルセストが憎む社交界に染まる、愛人セリメーヌが登場してからは舞台が活気を帯びる。アルセストはセリメーヌを独占したい、たとえ彼女が、自分が憎む世界の住人だとしても…これがアルセストの矛盾であり心の奥底を蝕む葛藤でもある。
 現代に近い時代設定でこの劇を観ることに慣れることができず、休憩時間にパンフレットを読み返していたら、隣に座っていた紳士が「どう思われます?」と話しかけてきた。彼は50年来このコメディー・フランセーズの常連で、「人間嫌い」は数えきれないほど観てきたという。「同じ戯曲でも、演出で本当に違う。台詞の扱い、人物たちの動き…。時を近代に設定してあったとしても、台詞のリズムや抑揚に、私は神経をとがらせます」。そこで、この演出はと尋ねてみた。「若い演出家(コメディー・フランセーズの役者クレモン・エルヴュー=レジェ)にしては、モリエールの言語の美しさをよく理解している」。ただ、紳士も前半のテンポにはかなり戸惑ったと言う。
 後半は、アルセストがセリメーヌの真の姿に気づき、ますますこの世を恨む最後まで一気に進んでいく。その展開手法、テンポの心地よさには私も引き付けられた。一度下りた幕が上ったところで、大喝采。隣の紳士は「ブラボー!」を連呼していた。(海)
7/17日迄。6€〜41€。
Comédie Française:Place Colette 1er
08.2510.1680  www.comedie-francaise.fr

 

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