ダヴィンチ最後の傑作。

Léonard de Vinci (1452-1519), Sainte Anne, la Vierge et l’enfant jouant avec un agneau dit La Sainte Anne. Vers 1503-1519. Huile sur bois (peuplier).
H. 168,4 ; L. 112 cm (1,299 m avec agrandissements latéraux). Paris, musée du Louvre, département des Peintures, INV. 776. Après restauration 
©RMN, musée du Louvre / Ren・Gabriel Ojéda

 ダヴィンチの『聖アンナと聖母子』の、修復後のお披露目展覧会である。
 子羊とたわむれるイエスを、母のマリアが抱き取ろうとしている。マリアはその母のアンナのひざに座っている。修復で、黒ずんでいた表面がきれいになり、聖母マリアの服の赤とショールの青が鮮やかに現れ、また冷えたような青白い風景から人物がくっきり浮かび上がった。ダヴィンチが20年間かけて制作し、本人の死によって未完のままに終わった傑作だ。
 未完であるというのが、修復後を見てわかる。ダヴィンチは、慎重に完成に近づけていきたかったのではないか。ショールの青は美しいが、まだ描き込みたかったのではないか。
 展覧会の目的は、これを機に、ダヴィンチのデッサンや習作などから『聖アンナ』制作に至るまでの過程を見せること、そして同じ題材、同じ構図でダヴィンチの弟子や後代の画家が制作した作品を展示することで、この絵の影響力を知らしめることだ。
 ダヴィンチには、生きながらして彼岸に行ってしまっているような、突き抜けた精神性の高さがある。それがデッサンにも表れている。
 弟子や後代の画家との違いは、聖アンナの表情からわかる。この構図は、イエスを、なんとかしてその運命(いけにえの象徴である子羊が、イエスの最期を予言するものとして描かれている)に向かわせまいとするマリアと、それを見守るアンナの図と言われている。ダヴィンチのアンナには、「どうなってもすべて神の御心」という達観と、マリアとイエスへの慈悲がある。弟子や後年の作家の模写には、ひとごとのような目でマリアとイエスを見ている奇麗なアンナ(プラド美術館蔵)、慈悲があるように描きたかったのだろうが、悲しそうに微笑んでいるだけのアンナ(フィレンツェの美術館蔵)などがあり、ダヴィンチのアンナにははるか及ばない。マリアも、ダヴィンチのマリアは頭の位置が少し後ろに傾き、顔を上に向けるよう首を少しねじっているので、肩から頭にかけて流れるような動きがある。プラドの模写もフィレンツェの模写も、マリアの首と肩が固まっている。この姿勢を保つのはさぞやつらかろう。比べることで、ダヴィンチのすごさがさらにわかる。(羽)
ルーヴル美術館:6月25日迄。火休。 

"La Sainte Anne, l’ultime chef-d’œuvre de Léonard de Vinci"



 

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