「セパマフォット」と言わないで。

 たまにミラは「セパマフォット」とか「セパグラーヴ」といった表現を使う。これが私は相当気に入らない。「セパマフォット」は「C’est pas ma faute=私のせいじゃない」、「セパグラーヴ」は「C’est pas grave=大したことない」という意味。両者とも責任逃れのニュアンスがぷんぷん漂う。きっとわが同胞、在仏日本人たちの嫌いなフランス語ベスト10の堂々上位にランキングするのではと、勝手に思っている。
 最近私がスーパーで買い物を終えた時のこと。レシートを見たらかなりの計算間違いが。面倒だったが早速店員につめよる。すると店員は非を認めて返金はしたが謝罪は一切なし。ひと言「セパグラーヴ」ときたもんだ。そう、フランスでは自分がした過ちに対しても「セパグラーヴ」をよく使う。これがなかなか日本人である私の感覚には、10年住んでも受け入れ難い。ムカムカしながら家に帰り、早速ミラに愚痴る。
 その晩、ミラを預かってもらうためジルと駅で待ち合わせ。ところが奴は約束の時間より随分と遅れてやってきた。そして開口一番、「ごめん、でもセパマフォット!だって電車が遅れたから」。ふん、そうですか。でも「セパマフォット」は余計ではないか。早速横にいるミラに同意を求めるが、ミラにとってもパパは何も悪くないと言う。少々異国で孤立気分を感じた週末の夜であった。ま、セパグラーヴ!(瑞)