パリ、日本文化会館にて思う —

立派な建物である。国籍不明のモダン建築である。「日本文化会館」という文字だけが、これが日本のカリグラフィかとフランスの人に日本を感じされるのだろうか。それも、力の弱いデザイン処理の表示。
ちょっと待って…、なにも一八六七年のパリ万国博の日本館を、というのではないけれど、これではないよ。当時、ヨーロッパの人たちは「自然主義に根ざした日本人の美に対する目と心、つまり日本人の美意識に対する見識の高さが、結局、人の心を動かしジャポニズムを起こす契機となった」(三井秀樹『美のジャポニズム』より)のではなかったのか。理屈っぽくいうのではないけれど、「花鳥風月」の日本の心をフランス人に知ってもらう場ができる! うれしい! 日本の生活文化、くらしのちえ、四季折り折りの自然をとり入れた日本人の心を感じてもらって、日佛の市民レベルでの交流の輪がひろがる! と喜んだのです。これはこちらの独り合点でした。クールな空間にホットでない応待、足を運んでくれたフランス人は日本のことを知りたいでしょう。商品や本の説明も聞きたいでしょう。訴え方が弱い商品にとまどうでしょう。自由に坐ってもらって雑談をしながら、日本のくらしのエスプリを知ってもらい理解してもらえたらいいなあと思うことしきりでした。
日本文化会館のあと、アラブ世界研究所へ行ったのです。ハイテクと伝統の美の外装、そして美術館、アラブの食文化を味わえるレストランーー このコンセプトの違いに私はひどくおちこんで、セーヌの流れをみていました。  長部 幸(大阪)