女性テロリストの出番。

シャルリ・エブド16-9-14)「(捕まった後なので)今週は落ち着けるわ」

シャルリ・エブド(16-9-14)「(捕まった後なので)今週は落ち着けるわ」

9月3-4日の深夜、ノートルダム大聖堂広場に違反駐車していた車のトランクから5個のガスボンベと爆発物が見つかる。広場前のレストランのギャルソンが警察に通報し爆破テロを未然に防ぐ。車内にあったタバコの吸い殻で容疑者がわかる。すでにテロリスト関係のブラックリストに載っていたイネス(19)とオルネラ(29)が車を放置したのがわかり、6日オルネラはヴォクルーズ県のオランジュ市で、イネスはパリ郊外エソンヌ県の友人アメル(39)宅で、いっしょにいた共犯のサラH(23)と共に逮捕。住居から出る際にサラは出刃包丁で警官を刺し、イネスももう一人の警官をナイフで負傷させる。ル・モンド紙(16-9-11)によれば、イネスのバッグには「イスラム国」に忠誠を誓う手紙が入っていたという。それには「アル・アドナニ(同組織のスポークスマン、8/30日に戦死)の指示に従い、私はあなた方の精神にショックを与えるためにあなた方の地を攻撃する」とあった。

ル・モンド紙によれば、サラは2015年3月、シリアに行く前にトルコで逮捕される。彼女は、6月マニャンヴィル市の警官夫婦を刺殺したL.アバラの元フィアンセで、7月末ノルマンディーの教会神父の斬首テロ犯ケルミシュのフィアンセでもあった。この2人が警官に射殺されたあと、サラはアバラの共犯、L.アベルーズと宗教的結婚式を挙げる予定だったが、彼も8日に逮捕された。彼女に数人のフィアンセがいたということは、シリアに向かう女性はジハーディストの妻でなければいけないからだ。8日の取り調べでイネス、アメル、サラたちはリヨン駅のテロを計画していたことが判明。

今までシリアに向かうムスリムまたはイスラームに改宗した女性たちはジハーディストに憧れて戦地に向かい、「セックス奴隷」として未来のジハーディストを産み育てる役を担っていると見られてきた。しかし「パレスチナの女性たちのように女性がテロ行為を遂行しているのに男性は何してるのか。……16歳の少女でさえテロ計画を担っている。その意志は見上げたものだ。あなたはどう言い訳できるのか」とアプリのTelegramで繰り返すジハード勧誘員のリモートコントロールに、女性は男性よりも感化されやすいのだろう。ジハード熱に浮かされた女性たちはシリアに行けない欲求不満を、テロ計画を遂行することで埋め合わせしているとみられる。一方、自爆テロは2000 年代初期からもっぱらジハードを目指す若い女性たちが率先して行ってきたのである。

内務省によれば、現在700人余のフランス人ジハーディストがシリアにおり、そのうち約300人 が女性。フランスに戻って来た女性のなかで59人がテロ容疑で取り調べられ(18人が拘置)、そのうちの35人の未成年者の中で12 人は少女なのだ。12 区に住み、4月から監視されていた15歳の少年がTelegramに「大量の無信仰者を殺して殉死したい」と投稿していたことで10日の午後、自宅で逮捕。

今までテロ調査班は、女性や未成年容疑者の扱いが甘かったのは確かだ。シリアの「イスラム国」の占領地が米ソ軍空爆により縮小し戦士も減少しつつあるなかで、ジハーディスト幹部はリモートコントロールにより未成年少女を含む女性ジハーディストによるテロをフランス各地で遂行させる戦略に移ったといえよう。