社会性が強い、Nuit Blanche 2017

ベルリンの作家集団「インヴィジブル・プレイグラウンド・ネットワーク」による、観る人とのインタラクティブなアートワーク。

 今日の晩は、一夜だけの現代アートを町のあちらこちらで見せるイベント、Nuit Blanche (ニュイ・ブランシュ)。今年パリ市は、ジュネーヴからシャルロット・ロバールさん*をアートディレクターとして迎え、「アーティストと市民の共同制作」をテーマに、30組のアーティストをニュイ・ブランシュ IN(公式プログラム)に選んだ。

パリ市庁舎前、革命がテーマのロシア人作家グループ「CHTO DELAT」の作品。

 パリ市庁舎前には、いきなり、1871年にパリコミューンで戦った市民の亡骸の拡大写真や、『毛沢東語録』からの抜粋が壁に書かれたコンテナ小屋ができていて仰天する。サンクト・ペテルスブルクの作家集団「CHTO DELAT」の作品だ。パリコミューンからアラブの春まで、世界で起きた革命を映像とインスタレーションで見せている。今年はロシア革命100周年の年。ロシア人にとって歴史の総括の年といえるのかもしれない。前日のプレイベントで挨拶したブリューノ・ジュリアールパリ市第一助役は、「政治や社会問題に深くかかわって活動するのはパリ市民のアイデンティティ」と、パリとこの作品を関連付けた。

 ポン・ヌフの下、サマリテーヌ側のセーヌ河畔では、ベルリンの作家集団「インヴィジブル・プレイグラウンド・ネットワーク」が、文字を並び替えてメッセージを作るゲームを行う(最初の写真)。スマホのアプリを使って、市民が好きな短文を投稿する。それを人気投票にかけて、短時間で一番得票が多かった文が、セーヌ河岸に文字で現れるのだ。フェイスブックやツィッターでこのイベントを知らせると、メッセージが広がっていく。ヴァーチャルな世界と物質世界を自由に行き来する世代ならではの作品だ。

「群衆ダンス」。フォーロム・デ・アール、今はCanopée カノペと呼ばれる、ガラス製天蓋下の広場で。

 ダンスのパフォーマンスがあるのは、レアールのショッピングセンター入り口。振付師オリヴィエ・デュボワさんが、公募に応募したアマチュアの先着300名を採用して、群衆ダンスを作った。7日当日は、1回45分のサイクルで朝3時まで踊る。息の合ったダンスはアマチュアのものとは思えない。今晩、レアールは華やかなお祭り気分に包まれるだろう。

 パリ18区のラ・シャペル地区では、フランス国鉄の古い敷地で、黒装束の若者グループが何かに向かって石を投げつけるという、抵抗を表した踊りを、3人のアーティスト集団が作り上げた。こちらもダンサーはアマチュアだ。多くの異文化の人たちが共存する、パリ北部の庶民的な地域にスポットを当てたのも今年の特徴だ。

 OFFのイベントも多いので、全部は紹介できないが、今年のニュイ・ブランシュは全般的に、社会性が強いものになった。(羽)

*シャルロット・ロバール : 美術史家、展覧会コミッショナー。MoMA PS1(ニューヨーク現代アートセンター)、カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館(トリノ近郊)、CAPC(ボルドー現代アート美術館)ディレクターなどなどを経て、現在、ジュネーヴ造形芸術大学で教鞭をとっている。

Nuit Blanche 2017のアートディレクター、シャルロット・ルバールさん。


Hôtel de Ville de Paris

Adresse : Place de l'Hôtel de Ville, 75004 Paris , France
アクセス : Hôtel de Ville/Châtelet
URL : www.paris.fr/nuitblanche