こだわりの詰まった横丁で味わう地鶏ラーメン。

 2016年4月、革新的なラーメン屋がパリ左岸、6区に出現した。懐古ゆえの斬新さ。そう括る理由は、内装とラーメンそのものにある。

 店の前を通れば立ち止まらずにいられない昭和レトロな内装には完璧主義とも言えるオーナーのこだわりが随所に感じられる。赤提灯、ネオン看板、玩具や駄菓子、カウンターにビールケース、トタン屋根、マンホール、住所標識、コンクリート塀に至るまで、その細部の復元ぶりは見事と言う他ない。誰もが日本へ旅したような、または日本へ帰って来たような気持ちになれる。

 そして昨今の豚骨ブームはどこ吹く風、地鶏ベースで勝負をかけるのは、シェフが親しむラーメンの味が鶏ガラスープのものだから。前日にとろ火で煮込んで寝かしたスープをベースに、カツオだしで作るタレを加えた地鶏醤油そばに地鶏塩そば、コクととろみを追求した白湯そば、黒ゴマニンニクそばの4種類展開だ(12€)。

 

左から : 地鶏醤油そば、白湯そば、黒ごまにんにくそば

左から : 地鶏醤油そば、白湯そば、黒ごまにんにくそば

スープをすすってまず実感するのが透明感。澄んだ味わいの中に、複雑に旨味が絡みあっている。これはシンプルな発想と、かける労力に時間、そして緻密な配合が揃ってこそ生み出せるものだ。新しさの中に懐かしさを覚える鶏ガラの味はやさしく、そして食後に重く胃にもたれることもない。麺はというと、驚くのがちゅるんとした食感で、秘訣は小麦粉にある。製パンを目的に作られるフランスの小麦粉と、うどんなどの麺づくりを目的に作られる日本の小麦粉は、その製法に大きく違いがある。製粉業者の協力のもと、日本の製法を用いることで、つるりとした食感と歯ごたえをラーメンの麺にもたらすことができるのだ。粉へのこだわりは徹底していて、現在シャンパーニュ・アルデンヌ地方で育てている麦を収穫し、その小麦粉でできた麺が出される日も遠くはない。看板商品の完璧さを追求しつつも、汁なし麺や季節の野菜を生かした新メニューの開発も念頭にある。

情熱あふれるオーナーのジャンバティストさんとシェフのマサさん

情熱あふれるオーナーのジャンバティストさんとシェフのマサさん

 「まだまだいろんなことを考えている」と、オーナーとシェフが楽しそうに語らう様子からは、飽くなき探究心と、何よりも情熱を感じた。(み)


Kodawari Ramen - こだわりラーメン

Adresse : 29 rue Mazarine, 75006 Paris , France
アクセス : M° Odéon
URL : www.kodawari-ramen.com/
火~日12h-14h/19h-22h(金土-23h) 月休