David Hockney - デイヴィッド・ホックニー回顧展 -

Looking at Pictures on a Screen, 1977 [屏風に貼った絵を見ながら] キャンバスに油彩 188x188cm
© David Hockney The Miles and Shirley Fiterman Foundation

 テート・ブリテンで5月に終了したホックニーの大回顧展がパリにやってきた。
1937年、イギリスのヨークシャー生まれ。地元の美術学校時代の絵を見ると、特にずばぬけた才能があったようにはみえない。

 それが、ベーコンやデュビュッフェの影響を受けた頃から変わっていく。1960年に見たピカソの回顧展で得たものは、ほとんど啓示といってよかった。「ピカソはあらゆるスタイルと技術を試みた。絵にはなんでも使うべきだ」とホックニーは思った。そしてピカソに習い、さまざまなスタイルを試した。キュビズム風、マティス風、リアリスム風、抽象画風、掛け軸の水墨画風 ⋯捉えどころがない画家という印象があるのはそのためだろう。

 カリフォルニア時代に描いた、明るい色彩のイラスト的な作品が有名で、たしかにそれらが本展の主役級だが、ホックニー作品の鍵はデッサンにある。身近な人たちや自分を描いたデッサンからは、彼のやさしさが伝わってくる。スタイルや技法が変わっても、人や自然に対する愛情が作品の根底にある。回顧展を見れば、作風を変える単なるカメレオン作家ではないことがわかる。80歳の今も、自分の可能性を探りつづけるアーティストの姿勢に元気づけられる。(羽)

 

10月23日まで (火休)
ポンピドゥーセンター