パリに香水大博物館、オープン。

フランス文化・経済にとって重要な香水を知る小さな旅。

水滴型のラックのなかに、香水に使われる素材の香りの玉がディスプレーされている。
見学者は、香りを楽しみつつ、素材について知ることができる。Grand Musée du Parfum / Harvey & John © Irène De Rosen

シックなフォブール・サントノーレ地区に、新しいパリの名所になりそうな「香水博物館」が誕生した。フランスと香水は、長期にわたって愛人のような関係を紡いで今日に至っている。パリは19世紀末から芳香のメッカであり続けてきた。製法技術の革新とともに、昔から手工業的に作られてきた香水は、プロヴァンス地方のグラースなど豊かな園芸栽培に恵まれて、一大産業として発展した。

ル・モンド紙のニコル・ヴュルセール記者は、日本では「清潔であることの方が、フランス的な〈いい香りがすること〉よりも根本的に大切」と書いているが、香水というのは、フランス人の情熱が結晶となって現れる世界だ。フランスのライフスタイルの象徴でもある香水とオ・ド・トワレは、2016年のフランス国内の化粧品売り上げの20%、輸出された化粧品全体の33.2%を占め、2015年の輸出高は、39億ユーロにのぼる。

ロデレール館と呼ばれる、かつてはクリスチャン・ラクロワ(オートクチュールのメゾン)も本社を置いていた建物を改装したのは、建築家レザ・アザール。サロン、ゆったりとした階段、さまざまな部屋など、かつては富裕な暮らしの場であった館の特性を活用し、ふつうのミュージアムとはちょっと違う、個性的で革新的とも言える空間を作り出した。

このミュージアムには所蔵品がない。ストルプ・コレクション*、グラースにある国際香水博物館や、パリの歴史がテーマのカルナヴァレ美術館などから100点近い展示物(香水の歴史を象徴するような香水瓶、香炉など)を借りて展示が構成されている。

ミュージアムは、全体が香り箱のように作られている。子どもも大人も、紀元前3千年にまで遡るファラオ時代のエジプトから、20世紀初頭までの、遊び感覚に満ちた香水の歴史の旅へと誘われる。

上階には「香りの庭」。日常生活のなかで私たちを取り囲む匂いを嗅いで、何の匂いかを当てるコーナーだ。見学コースは自分の感覚を頼りに香水を作り出す「調香師の仕事」コーナーで締めくくられる。コンセプト・ストアと書店もお勧めしたい。(J-L.T-B.)

*Storp Collection : ドイツの香水製造会社のDrom社を所有するストルプ家の、世界の稀有な香水瓶コレクション。ストルプ家は20世紀初頭、ミュンヘンで薬局を経営しながらDrom社を1911年に設立。現在は3代目の兄弟が事業を継ぎ、世界42カ国で事業を展開している。

「香りの庭」では、人体はどのように香りを感じるのか、仕組みがわかる。嗅覚、視覚、記憶などを働かせながら、生活のなかで私たちを取り囲む香りを当てよう。Grand Musée du Parfum / Projectiles –Arte Factory © Irène De Rosen

ロンドンが拠点のデザイナー集団、Jason Bruges Studioによる、光と音を使った「香水のオルガン」。半円型の棚に、香水の素材が入った瓶を並べられるようになっている。Grand Musée du Parfum / Jason Bruges © Irène De Rosen


Grand musée du Parfum

Adresse : 73 rue du Fbg St-Honoré, 75008 Paris
TEL : 01.4265.2544
アクセス : M°Saint-Philippe-du-Roule / Franklin Roosevelt
URL : www.grandmuseeduparfum.fr
月休、火~日10h30 - 19h、金曜は22hまで。