Nelson Goerner

musique アルゼンチン生まれのピアニスト、ネルソン・ゲルナーは、ショパンを弾かせたらちょっと並ぶ者がない。昨年出た『前奏曲集』の素晴らしさについては 「(ショパンの曲が)ゲルナーの感受性と一体化して内側から光を与えられたかのように表現されている」と書いたが、新アルバムはベートヴェン集。『ヴァルトシュタイン』のような中期の作品かと思ったら、なんと、ショパンの小傑作たちの対極にあるようなピアノソナタ第29番『ハンマークラヴィーア』。耳が聞こえなくなっていたベートーヴェンがピアノの表現の極限をひたすら追い求めたかのような40分を超す大曲だ。
 ゲルナーは全体的に早めのテンポで演奏しているのだが、第1楽章のアレグロは、タッチに明るい透明感があって、右手がよく歌っているし、最終楽章のフーガも、各声部が鮮やかに浮かび上がる。ただアダージョ楽章に深淵をのぞき込むような戦慄がほしいなあ…と心残りだったのだが、今度のパリ公演でこの曲を演奏するのだ。素晴らしい音楽体験になりそうな予感。(真)

13日11h。 30€/15€ (26歳未満) / 無料 (9歳未満)
Théâtre des Champs-Elysées :
15 av.Montaigne 8e 01.4952.5000
M°Alma Marceau
予約は www.theatrechampselysees.fr