発明コンクールで《共和国大統領賞》受賞 ブノワ・ミランボー さん。

Benoît MIRAMBEAU

hito 毎年5月、50~60万人が訪れる巨大総合見本市「フォワール・ド・パリ」の一角で、フランスで最も権威ある発明コンクール《コンクール・レピーヌ》が行われる。第115回目の今年は「自然と生活様式」「健康と新技術」「交通・移動と産業」「招待国」の4カテゴリー、556の発明が賞を競った。

会場には、郵便物を受け取ったら赤く点灯する郵便受け(ムダに郵便受けを見に行く必要がない)、カタツムリのぬめりを使った美肌クリーム、クルクルとカールされた靴ひも(ほどけても踏んで転ばない)、階段の昇降ができる車椅子、家のゴミ圧縮機など、日常を細部から改善してくれそうなものが並ぶ。今年はインターネット接続を使った発明コーナーも特設され、18の発明が披露された。全身を「自撮り」できるアプリ、泳ぎのフォーム指導をしてくれる水泳帽、好きな香りで目を覚ましてくれる時計、2平米でゴルフが楽しめるバーチャル3Dゴルフセットなどが来訪者を惹きつけた。

そんな多数の発明のなかから、コンクールの最高峰「共和国大統領賞」に輝いたのはブノワ・ミランボーさん(48)の   ”Application pour protocoles diabétiques”。糖尿病患者が、食事、運動、血糖値など治療のデータを入力すれば、投与するべきインシュリンの量を計算してくるアプリケーションだ。糖尿病持ちの母親(74)が昨年、ブノワさんの家で低血糖で倒れ、患者が自分の治療を管理することの難しさを実感したのが、開発のきっかけだった。

ブノワさんはフランス南西部ロット・エ・ガロンヌ県のアジャン市在住。普段はスーパーマーケット「クロノドライブ」の店長さんだ(ネットで商品を注文し店頭で受け取る、ドライブスルー形式のスーパーで、全国に60店舗以上を展開する新進企業)。新技術を使った発明の実演などで人だかりができる特設コーナーのなか、パソコンとスマホをテーブルに置いただけの一番「簡素」なブース。「アプリ開発は趣味で数年前から」というブノワさんは8カ月間でこのアプリを開発し、さらり、コンクールの大賞をさらってしまった。医療補助の器具として実用されるためには、保健省の認可が必要になるが、それを得られればフランスで300万人、世界で4億人といわれる糖尿病患者がブノワさんのアプリを使う日も夢ではない。「この大賞の宣伝力があれば、話は進むのでは」と、またもやさらり。

授賞式にはお母さんも同席し、賞品のセーブル焼の壺を受け取り、喜びを分かち合っていた。(美)