浮雲だより:1月15日号

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国立人口問題研究所(INED)と国立統計経済研究所(INSEE)が共同で実施した、フランス国民の多様性と差別についての調査結果が公表された*。20世紀後半にフランスに移民した人たちの出身地を大きく7つ(トルコ、東南アジア、モロッコ・チュニジア、アルジェリア、ポルトガル、イタリア・スペイン、サハラ以南のアフリカ諸国)に分類し調査したもので、それによると、第1世代に比べ、フランス生まれの第2、第3世代の方が差別を敏感に感じる人の割合が高いという。第1世代は不平等な経験をしても移民だから仕方がないと受け入れてきた。だが第2、第3世代は、フランス人としての平等な権利を持ち、自分自身はフランス人だと実感しているにも関わらず、社会からはフランス人として見なされていないと感じてしまうのだそうだ。

「移民」と「国民」が区別されるようになったのは、国民国家の概念が生まれた19世紀の話だ。それ以前は、人の行き来や移住は比較的自由だった。そんな時代にヨーロッパ人は遠くの地へ赴き、「移民」ではなく「植民」し、行く先々で人々を搾取した。人間の歴史を振り返れば同様の搾取は世界に山ほど見つかるだろう。だが、現在深刻さを増すフランス生まれの移民の子供たちの引き起こすテロ行為の背景には、この過去を引きずる現代の問題があると意識した方がよいだろう。あの暴力は誰に対して、何を叫んでいるのだろうか。

人はそもそも全員が違い、同じ人間はどこにもいない。共同体の文化もそれぞれが独特だ。人々は昔から他者や他文化と交流し、差異を創造的に作用させ、知的、美的に多様な文化を生んできた。それぞれが皆違うのだから、大雑把にステレオタイプな差別をすること自体に意味はない。だが差別は不平等な社会を作り、個人を巻き込んでしまう。もしも世界が本当に自由で平等であれば、他者との差異は否定的なものではなく、自分自身を見つめ直し、自分らしく肯定的に生きるきっかけになるだろう。(仙)