Papier d’Arménie の芳香紙

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Papier d’arménie triple (安息香) 2〜2.5€、rose (ローズ系)とarménie (ラベンター系)は約4€。蛇腹に折って端に火をつけ、炎を消してから小皿の上に置くと、燃えきった後にほのかな香りが漂う。抗菌・虫除け作用もあるので、そのままタンスに入れたり、持ち物に香りを移すという使い方も。
パピエ・ダルメニー(papier d’arménie)は紙を燃やして香りを楽しむ 「紙のお香」。1885年からパリ南郊外のモンルージュで製造していると聞いて、さっそくル・パピエ・ダルメニー社のアトリエを訪れた。

原料の安息香を手にするシュヴァルツ社長。「暑くて湿気のあるラオスのものが高品質」

原料の安息香を手にするシュヴァルツ社長。「暑くて湿気のあるラオスのものが高品質」

案内してくれたのは、創業者のひ孫にあたるミレイユ・シュヴァルツ社長。商品名から元はアルメニア産かと思ったが、そうではない。化学者オーギュスト・ポンゾがアルメニアを旅した際に、人々がアンソクコウノキの樹脂である安息香(benjoin)を燃やして室内を消臭するのを見て、それをフランスに持ち帰り、薬剤師アンリ・リヴィエとともに安息香をアルコールに溶かして少量の香料と混ぜるとよい香りが得られることを発見し、紙のお香を作り出したというわけだ。そのリヴィエ氏の息子、孫娘、ひ孫と4代に渡って伝統的な製法が受け継がれた。
2階建てのアトリエの地下の安息香液製造からスタートした。ラオス産の良質の安息香を砕いて粉にし、アルコールに溶かしてバニラなど他の香料(これは企業秘密)と混ぜる。パピエ・ダルメニーには安息香のほかに 「ローズ」、「アルメニー」という商品があるので、それぞれ別のタンクで香料の液が作られる。これに3カ月かかる。
1階では、主にスウェーデンから輸入している吸い取り紙を手作業でまず塩水にさっと浸して重ねていく。後で浸す香料液が染みこみやすくし、紙がゆっくりと燃えるようにするためだ。これを数枚ずつはがし、自然乾燥させるための金網棚に並べる。その作業をしていたカロリーヌさんは勤続22年。「この近くに住んでいるし、わが家は祖父の代からこの会社で働いているの」
1日ほど乾かしたら香料液に1時間から数時間浸す。安息香の液は赤褐色、「ローズ」は緑がかった透明な液だ。紙の水気をざっと切り、箱型の乾燥機で乾かす。これも手作業で1枚1枚釘にひっかけていく。1時間ほどで乾いたら、重ねて重しをして2〜3カ月置いておくと、柔らかい香りになるのだそうだ。
2階に上がると、一角のテーブルで3人の人が紙を検分していた。1枚ずつ目で見て傷やしわになった紙は除いていく。そして、裁断されたお香紙と表紙を機械が自動的に重ねてホッチキスで止め、半分に折って4冊分つながって出てくる。端っこを裁断機で切りそろえれば出来上がりだ。

手作業で 紙を香料液に浸して いきます。

手作業で紙を香料液に浸していきます。

ミレイユさんが母親に懇願されて事業を引き継ぐために戻ってきた1992年当時は、ほとんどを手作業でやっていたという。93年から次第に機械化して生産効率を上げ、92年の年25万冊から2014年は250万冊と10倍に増えた。仏高級ブランドの香水も手がける有名な調香師フランシス・クルジャン氏との出会いが転機となり、2006年のアルメニア年にちなんだ 「アルメニー」、09年には「ローズ」を発売した。同じ香りのアロマキャンドルや香器(外注)など合わせて年商280万ユーロに上る。薬局、ドラッグストア、Bio店など90%は国内2万カ所で販売するほか、カナダや日本などにも輸出。日本には年6万冊販売している。
最後に、室内の空気汚染の懸念についてたずねてみた。ある雑誌に、パピエ・ダルメニーは室内消臭剤や消臭香のなかでは、発がん性が疑われるベンゼンやホルムアルデヒドの値が最も低いと書いてあった。社長によると「燃やすとベンゼンは少し出ますが、使いすぎなければ問題はない」そうだ。(し)

 

 

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