「ブドーを教えに来て、ブドウを教わった!?」

日本のワインシーンも、このところだいぶ様変わりしてきている。格付けなどでワインを買うのではなく、値段と、何より質で選ぶ人が多くなってきているようだ。そんなワイン達をフランス中から探し出し、日本に輸出・紹介しているのが伊藤與志男(いとう よしお)さんだ。
 今でこそワインの仕事をしている伊藤さんだが、もともとフランスに来たきっかけは「武道」だった。小学校の頃から「養正館武道」に入門し、空手・合気道をはじめ居合まで、すべての武道を修めた伊藤さんは、その指導員として1976年、ボルドーに派遣された。夜に武道を教えるかたわら、昼は学生としてフランス語や醸造学などを学び、作り手のところでワイン作りの修行をしたことも。「もともとお酒は嫌いじゃなかったし、ボルドーでは道場の生徒が、みんな何かしらワインと関係ある人ばかりで…」
 82年に帰国した後も、ワイン関係の会社の営業などをして働いていたが、88年の第1次酒販免許緩和の時に一念発起、将来的にワインが注目を浴びると考え、仕事をなげうってワイン探しのため再び渡仏したのが90年のこと。その後も様々なことがあったが、98年、自ら会社を興し「エノ・コネクション oeno connexion」と名付けた。「今思えば、日本での営業経験が、今の仕事の基礎になっている」
 「自分が10人いればワイン業界で天下を取れる!」と豪語する伊藤さんだが、確かにそう思わせるだけのパッションと魅力を持っている。今後の夢は、一生懸命作っている人達のワインを日本に紹介し続け、いずれは作り手から消費者まで、みんなが幸せになれる「輪(システム)」を作ること。「エノ・コネクション」という社名も、そこから来ているそうだ。
 取材の後、ワインを勧めてくれ、「これスゴイよね!」と熱く語りながら飲んでいる伊藤さん。「ブドウ」に魅せられた「ブドー家」は、人並みならぬ情熱の持ち主であった。(hiro)