心の中の未知の世界を探る。 La Revolution surrealiste

 ロンドンのテイトギャラリーに続き、ニューヨークとパリでも大規模な展覧会が開催され、シュルレアリスムの人気が再燃しているようだ。ポンピドゥセンターでのこのエキスポジションは、2度の世界大戦の間にパリで活動したシュルレアリストたちの作品から、この芸術運動の発展経過を探るものだ。
 1924年アンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」によって始まったことになっている運動だが、第一次大戦前から不安感を造形化し、シュルレアリストの先駆者とされるキリコを初め、エルンスト、ダリ、マグリット、ジャコメッティ、タンギー、ミロ、マン・レイ、ベルメール、ブラッサイらの絵画、オブジェ、写真、ブニュエルの映画、そして多くの出版物が多角的に展示されている。ムーブメントの中心人物であり、同時に独裁者のようなブルトン(表現スタイルを変えたキリコを破門したという)の、会場内に復元されたアトリエの壁は特に興味深い。アメリカンインディアンやオセアニアのオブジェ、石や虫、偶然に見つけた物などが、シュルレアリストの作品とともに並び、そこではアーティストたちがそれらのオブジェに強く影響されたことが明らかになるのだ。
 第一次大戦の最中に起こった、既成の価値を否定する芸術運動「ダダ」の流れを受け、「シュルレアリスム」運動は、社会の禁忌を破壊し、フロイト思想の影響下、無意識に潜む観念の世界を自由に解き放つことを目指している。また現実世界の再現を拒否し、造形要素だけで表現世界を作り上げようとする抽象主義と同様に、シュルレアリスムも、具象表現を用いながらも現実の単なる再現性を否定するものだった。彼らが編み出した新しい表現方法、自動記述、コラージュ、フロッタージュ、デカルコマニーなどは、人間の心の中の未知の世界を探ろうとする、新たな芸術の可能性へのムーブメントだったのだ。
 すべての作品を見るには少なくとも2時間は覚悟した方がよい。エキスポの最後を飾る、エルンストが所蔵していたアメリカンインディアンのオブジェの数々は、美しく印象に残るものだった。(ヤン)

ハンス・ベルメール
La Poupee, 1936-1938

ポンピドゥセンター 6/24日迄(火休)


Gustave Le Gray展
 19世紀写真の創成期を代表する写真家ル・グレイ(1820-1884)の作品を250点集めた初の大回顧展。彼の人生は、波瀾に満ちたものだった。画家志望だったル・グレイは、4年間ローマに滞在後、1847年にフランスに帰国、写真制作に没頭した。その非凡な探究心で、1850年にはニトロセルロースをガラス版に塗布して陰画を作る方法、1851年には蝋引きした乾いた紙で陰画を作る方法と、二つの新技術を開発し、写真界の第一人者となった。
 フォンテーヌブローの森のディテール、フランス各地の歴史的建造物の重厚感、ル・アーヴルやセートの海の広がりと光。画面に何を求めるかによって撮影方法を変え、複数の陰画を合成して叙情的な効果を生み出したりと、ル・グレイの写真技術は、彼の美学と結びついている。
 1856年にブリッジ侯爵家の出資でパリの一等地キャピュシーヌ通りにアトリエを構え、一見順風満帆のようだったが、写真の商業化の風潮に迎合しない完璧主義が出資者と対立し、1860年アトリエは閉鎖。同年5月、友人アレクサンドル・デュマに誘われるまま債権者から逃れるように、家族をパリに残してマルセイユから東方への航海に旅立つ。2カ月後同行していたデュマの愛人との争いがきっかけで、ル・グレイはマルタ島に取り残されたが、翌年アレクサンドリアに到着。旅はそこで終了するはずだったが、ル・グレイは二度とパリへ戻ることはなかった。1884年カイロで世を去っている。(仙)

国立図書館: 58 rue de Richelieu 2e 6/16迄(月休)


●Pierre BONNARD(1867-1947)
色彩豊かな油彩画を描いたボナールの1892年から1940年にかけてのデッサン100点。二つのギャラリーで。4/13迄
Galerie Aittouares: 2 rue des Beaux-Arts 6e Galerie Berthet-Aittouares:
29 rue de Seine 6e
●<Prix Altadis Arts Plastiques 2001>

フランス、スペインのアーティストを毎年発掘しているアルタディス造形芸術賞。2001年度受賞者6人の作品。4/13迄
Galerie Liliane&Michel Durand-Dessert:
28 rue de Lappe 11e
●<Afghanistan, une histoire millenaire>
イスラム文化を中心にギリシャ、インド、モンゴルなど、様々な民族と文化が交錯していたアフガニスタンの美術品250点を展示。5/27迄
ギメ美術館: 6 pl. d’Iena 16e(火休)
●<Si c’est une collection(suite)!>
アニエスbが集めた写真コレクション。
Palais des Arts: 1 pl. de l’Europe,
Nogent-sur-Marne RER E線のNogent-Le Perreux 駅 6/6迄(日休)15-19h
●<Fragilisme>
「不安定」を共通項に、世代、スタイルのまったく異なった3人のアーティストAlessandro Mendini、Vincent Beaurin、Fabrice Domercqの作品。6/9迄(月休)
Fondation Cartier: 261 bd Raspail 14e
●<La photographie et le reve americain>
ヨーロッパで発明された写真技術はアメリカに渡り、瞬く間に大陸中に広がった。時は19世紀、誰もが希望に満ちていた合衆国の青年期。1840年から1940年までの写真作品。6/16迄
Hotel Sully: 62 rue St-Antoine 4e (月休)
●<Priere(s)>

「祈り」をテーマとする展覧会。サン・ドニ歴史・芸術博物館所蔵のエリュアールとドーミエの作品を中心に、ピエール&ジル、ウィトキン、デュシャン、マン・レイなど。6/24迄
Musee d’Art et d’Histoire:

22 bis rue Gabriel Peri, Saint-Denis

●Maria Teresa KUCZYNSKA(1948-)

2002年度のブールデル賞を受賞した彫刻家Kuczynskaのエキスポジション。ブロンズ、セラミック、フェルトを素材とする作品。6/30迄
Musee Bourdelle:

18 rue Antoine Bourdelle 15e(月休)

●<Mondrian de 1892 a1914>

運河、木々、建物の風景の形体、光、空間の表現方法を模索していたオランダ時代から、パリに滞在した1912~14年まで、モンドリアンの作品110点を集める。構造、リズム、バランスの探究によって具象形体が消失し、水平、垂直の線による画面構成へと到達するパリ滞在時代の作品は、彼のその後の作品を理解する上で重要だ。7/14迄(月休)Musee d’Orsay