911号で紹介したイタリア料理の本『La Cuillère d’argent』のレシピにしたがって、ナスのグラタン、パルミジャーナを作ったら、「いつもよりうまい!」と大好評だった。
ナスを縦に5ミリの厚さに切り分ける。これに軽く塩をまぶし、パソワールに入れる。ときどき上下をひっくり返しながら、1時間ほど置いておく。
この間にトマトソースを作る。八百屋のトマトはまだ甘くないので、「tomates entières pelées au jus」というトマトの水煮缶を使った方がいい。鍋にトマトを汁ごとあけ、マッシャーやフォークで丹念に押しつぶす。軽く塩、コショウ、きざんだバジリコ少々、砂糖一つまみを加え、中火で20分ほど火を通す。
何回かに分けてパソワールのナスを両手にはさんで強く押しながら、できるだけ水気を切り、キッチンペーパーや布巾の上に置いておく。大きなフライパンに、深さ1.5センチほどのオリーブ油を入れる。それが熱くなったら、ナスを次から次へと、少しずつ揚げていく。両面にきれいな焼き色がついたら、キッチンペッパーの上にとり、油気を切っておく。
モッツァレラチーズの玉はできるだけ薄く切る。卵は丁寧に割りほぐす。オーブンの目盛りを180度に合わせて点火しておく。
小さめの、たとえば20×20センチくらいのオーブン皿を用意する。最初にトマトソース1/4を敷いて、その上にナス1/4を並べ、おろしたパルメザン1/4を振りかけ、モッツアレラ1/3を均等に並べ、きざんだバジリコ1/3を散らし、卵2個分の1/3をかけまわす。同じ作業を2回繰り返せば3層になるだろう。最後に、ナス1/4を並べ、トマトソース1/4をかけ、パルメザン1/4を振りかける。バターの小さなかたまりも散らし、熱くなっているオーブンへ。30分ほどで焼き色がつくだろう。トマト、モッツァレラ、パルメザン、バジリコの味や香りと一つになったナスがうまい! ルッコラ菜のサラダなどを添えれば立派な一食になる。(真)
4人分:ナス3個 (約1キロ)、トマトの水煮缶800g、モッツァレラ150g、パルメザン100g、卵2個、きざんだバジリコ大さじ3、4杯、オリーブ油、塩、コショウ、砂糖
Aubergine
ナスは、フランスには17世紀ごろにイタリアから入ってきた。トマト、クルジェット、ニンニク、オリーブ油とよく合い、ラタトゥイユには欠かせない。ナスのキャビアも素敵なアントレ。大きいものほど種が多いので小さめを選んでも、一つ300グラムはある。油との相性は抜群で、今回のレシピのようにすると思ったより油がとばない。炒めものにするときは、縦に四つに割ってから、真ん中のフワフワとした種のところを切りとり、30分ほど水につけてから切り分けて炒める。こうすると、あまり油を吸わないのがいい。
Moussaka
ナスのグラタンといえば、ギリシャ料理のムサカもおすすめだ。今回のレシピのようにナスの下準備をし、オリーブ油で揚げ、キッチンペーパーに並べて油気を切る。ナスに塩を振ってパソワールに入れた頃合いで、ミートソースとベシャメルソースを用意。まずミートソース。ソトゥーズにオリーブ油をとり、みじんに切った玉ネギを炒める。透き通ってきたら、ひき肉とおろしたニンニクを加え、エルブ・ド・プロヴァンス、シナモンパウダー少々を振りかける。「chair de tomate」という缶詰のつぶしたトマトを入れ、塩、コショウ。全体を混ぜ合わせつつ弱火で25分ほど煮込み、最後にみじんに切ったパセリを混ぜ入れる。ベシャメルはいつものように作り、おろしチーズ適量を混ぜ入れ、しばらく火を通す。
オーブンの目盛りを180度に合わせて点火。小さめのオーブン皿に、まずナスを重ならないように並べる。その上にミートソースを半量敷く。その上にまたナスを一層。次に残りのミートソース。次にまたナス。最後は、ベシャメルソースで全体をおおう。熱くなっているオーブンに入れ、きれいな焼き色がついたらでき上がりだ。
4人分:ナス3個、牛のひき肉500g、玉ネギ1個、トマト缶400g、ニンニク2片、パセリ
ベシャメルソース:牛乳400cc、バター大さじ2杯、小麦粉40g、おろしチーズ適量、塩、コショウ