料理と出会い、これまでとこれから。

小林圭さん(39歳)

 小林さんはよく「勝負」という言葉を使う。駆け引きが好きなのか?というとそうでもないらしい。地元の長野、そして東京で働いて、1990年代末にフランスへ。数年間地方で働いた後に、パリに出るならば最高の店を、とアラン・デュカスへ面接に行き採用される。 厨房の2番手として50人以上のスタッフを7年間指揮することと同時に、素材選びから何から、厳しく目を配りながら先を読むデュカスという料理人の姿勢を学んだという。

2011年に自分で店を開く決断をしたのは、いくつかの要因が重なったこと以上に「腕に自信があるなら自分で店を開けば」という知り合いの料理通の一言のおかげだった。ただ店を開いてからの小林さんはシェフは孤独な職業だと日々痛感し、心の中の90%は「苦しい」という感情に支配されているという。 小林さんが「劇場」と喩えるレストランで毎日良い公演を披露するためには、スタッフの一人一人が同じ方向を目指し息を合わせていかなければならない。料理人であると同時に演出家だとも自覚する小林さんはそのことへ心を砕く。そして2ヶ月、3ヶ月後に店はまだ存続しているだろうか?という不安があるからこそ、毎日が真剣勝負のステージとなる。

再び勝負の話に戻ろう。先月ミシュランで二つ目の星を獲得した小林さんは、外国人オーナーシェフでは初めてだと取材に来た記者から知らされた。自分が日本人だと特に意識せずここまできたけれど「ムッシュー・デュカスや他の仏人シェフたちが持たない武器の一つが日本」だということは認識している。「自分の勝負はこれから」で「どんどん動いて行きたい」と宣言する小林さんからしばらく目を離さずにいようと私は思うのだった。(海)

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Restaurant Kei

Adresse : 5 rue Coq Héron, 75001 Paris
TEL : 01.4233.1474
URL : www.restaurant-kei.fr
火-土 (木昼休) 昼56€から、夜99€から。