カイユボット家の、イエール川沿いの庭園と邸宅。

La Propriété Caillebotte

 

11ヘクタールの庭園は、今は市民の憩いの場となっている。園内には、現在レストランになっているスイス風シャレー、氷室(氷と食品などを保存する貯蔵庫)、冬の温室(オランジュリー)、礼拝堂、鳥舎、菜園などが設けられている。©Christophe Brachet

 カイユボット家の邸宅が修復され、一般公開が始まった。印象派の画家、ギュスターヴ・カイユボット(1848-94)の家族が所有していた別荘だ。

 11ヘクタールの広大な庭園は、町を流れるイエール川に沿ってゆったりと広がり、その一角に、ローマのボルゲーゼ公園にある「ラファエルの家」をモデルに建てられた白亜の邸宅。カイユボットはここで1860年から87年までバカンスを過ごし、川遊びや、庭、近くの町の風景などを、80点ほどの作品に描いた。

 パリから南東20キロのイエール渓谷。画家カイユボットの父親は、軍隊に寝具を売って財を成し、1860年にこの別邸を購入した。オスマン県知事が進めるパリ大改造で一大工事現場となっていた都市の喧騒から逃れるため、富裕な家族が別荘を構えた地域だという。パリからは隣町モンジュロンまで鉄道が伸びそこから車が出ていた。辞書で有名なピエール・ラルースも1866年、近くに家を買っている。

 ギュスターヴが生まれた1848年、カイユボット家は10区フォブール・サンドニ通りに住み、店を経営していた。別荘に行き始めた年、ギュスターヴ少年は12歳。広い庭、この季節、緑がまぶしいほどの近くの森やイエール川で思いっきり遊んだのだろう。父親は川辺にボート乗り場も設置。美術史家セルジュ・ルモワーヌ氏は「晩年のモネにジヴェルニーの家があったように、初期のカイユボットにイエールがあった」とこの別荘の重要性を位置付ける。

 

(左)「イエール川のカヌー」(1877) イエール川では、泳いだり、釣りをする情景も描かれている。 © Ville de Yerres
(右)「ビリヤード」(1875)邸宅の修復により、このビリヤード室も復元された。 © Studio Sebert

(左)カイユボットが好んで描いた菜園。近くの学校や市民グループが手入れし、花は満開、野菜も豊作だ。
(右)19世紀初頭の所有者(現在パリも2区Montorgueil通りにあるレストラン”Au Rocher de Cancale” のオーナー)が作らせた東洋風の東屋。その下には氷室。今はもう氷はないが、中はヒンヤリ涼しい。

(左上)邸宅エントランスからすぐの食卓。(右上)庭園内にあるスイス風シャレー、今はレストランになっている。(左下)画家カイユボットの両親が使っていた寝室。コテコテのナポレオン趣味で壁にはナポレオン肖像画も。この趣味の悪さは、カイユボット家の前の家主のものだという。(右下)一階のビリヤード室となりの読書室。

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Propriété Caillebotte

Adresse : 8 rue de Concy, 91330 Yerres , FRANCE
TEL : 01.8037.2061
URL : proprietecaillebotte.com